第7話 葛城 縁
僕は
TOIN 権太
『縁!今日の夜暇か?飲みに行かないか』
TOINはすぐ既読になった。
TOIN 縁
『おお! 丁度空いてるぞ! いつもの居酒屋でいいか?』
その日の夜に僕と縁は飲みに行くことになった。
~その日の夜~
「権太から急に飲みに誘うなんて珍しいじゃないか! 」
縁が僕の背中を叩きながら言った。
痛いよ……縁
「まあな。聞きたいことがあってな」
僕は緊張しながら言った。
まず、何から言えばいいのか……
「
縁が僕が言いづらそうにしてることから察したようだ。
「そうなんだ……蔵子さんが高校時代に脅迫されていたのは知っていたか? 」
僕は勇気を出して切り出した。
縁は何やら考え込んでいるようだ
「やはり……そうだったか」
縁をさらに言葉を続ける。
何やら心当たりがあるようだ。
「小豆沢さんが階段から落ちた翌日から権太にいじめがあっただろ? 俺が現場を見つけて権太をいじめたやつをとっちめようと教室に張り込んでたんだよ。そしたらそいつらが机に落書きしようとしたら俺より先に小豆沢さんがさりげなく止めに入ったんだよ……俺も出ていってそいつらに説教したんだよ。 小豆沢さんには『私が止めたことは内緒にしてほしい』と言われたよ。あの様子はただ事じゃないと思ったよ」
縁はそう言うと、ビールのジョッキを一気に飲み干した。
僕は蔵子さんだけでなく縁にも守られていたんだな。
「ありがとう。縁」
僕は泣きそうになった。
「僕は蔵子さんを脅迫した人物を探したい! なにか心当たりはないか? そのせいで蔵子さんの……こ、
僕は蔵子さんの
「うーん。吹奏楽部で合宿に行ってる間に部室の何人がのロッカー荒らされていたことがあったよな? 」
縁のその言葉に、僕も思い出した
「ああ、僕と
「あと、田中もだ。部室は工事中で開けっ放しだったからな。あの時合宿に行ってないか、吹奏楽部以外の人かもな」
縁が考え込んでいる。
「そうか……ありがとう。これは調べてみる必要があるな」
僕はスマホに『机の落書き』『ロッカー荒らし』とメモをした。
「縁……正直……蔵子さんのことをどう思ってた? 」
僕はずっと気になっていたことを切り出した。
「吹奏楽部の仲間で権太とくっついてくれたら嬉しいなとは思ってたよ。権太は今はどう思ってるんだよ? 」
縁はまたビールのジョッキを一気に飲み干した
「……好きだよ。僕が4の儀式で記憶を消してしまったから、違う人と付き合ってしまったけど……僕も諦めようと思って告白したら蔵子さんに泣かれたよ」
僕は
「本当に4の儀式って記憶が消えるんだなあ。
そりゃまだ心の底では小豆沢さんは権太のことが好きだろ? 俺が見てた限りは高校時代から権太のことが好きだったと思うよ」
縁が心配そうにしている。
「そうみたいだな。僕は気づくのが遅かったけどな」
僕は遠くの方を見た。
「俺ちょっとトイレ行ってくるわ」
縁がトイレに行った。
「権蔵。何かわかったか? 」
僕は何も聞いていないが、イヤホンをして権蔵に話しかけた。
「うーむ。権太のことが好きだってことしか……」
権蔵が悩みながら言った。
えっ?
「縁はゲイ……つまり男色なのか?」
僕は恐る恐る権蔵に尋ねた。
「そこまでではないが友達以上の感情を持ってるな。」
権蔵が首を横に振る。
ちょっと安心した……縁は結婚してるからな……
「動機として考えられるのは親友の権太を蔵子に盗られたくなくて脅迫した……かのう」
権蔵は真面目に言った。
「縁はそんなことしないし、今猿さんとぶつかったトラックはどうなるんだよ? 」
僕は縁が脅迫した人物だとは絶対違うと思いたかった。
「今猿の家に行ったから嫉妬して……」
権蔵がさらに憶測を言った。
「もうやめてくれ! 憶測だけで証拠がないのに勝手なことを言うな」
僕は怒りを抑えて静かに言った。
「すまん……言いすぎじゃな。」
権蔵が素直に謝った。
「いや、僕もイライラしすぎた。色んな可能性は考えておかないとな……」
僕も一生懸命考えてくれてる権蔵に言いすぎたな。
「どうした? 電話か? 」
縁がトイレから戻ってきた。
「ああ。もう終わったよ」
僕は耳にしていたイヤホンを外した。
「あと…連絡先知りたい人がいるんだが知らないか?
僕は言い
「あと……?」
縁はこのあとの言葉が気になるようだ。
「片岡あやめさんも……」
僕は恐る恐る言った。
「ああ。あやめとは今はいい友達だから気を使わなくていいぞ。OK! 全員分かるぞ」
縁が1人ずつSNSかメールアドレスかを教えてくれた。
「ありがとう! 頼りになるな」
僕は1人ずつ電話帳に登録していた。
最後は中川海未さんの連絡先だけになった。
縁は中川海未さんのtocebookを見せてくれた。
こ、この人は……!
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