第3話 僕の名は?
~翌日~
蔵子さんは今日は1人で帰るようだ。
「
僕はすぐさま声をかけた。
「
蔵子さんは振り返って僕の方を見た。
「今日も相談にのってもらえますか?」
僕はもう手段とか選んでられない。それに蔵子さんに聞きたいことはまだ山ほどある。
「ごめんなさいね。今日は用事があるから。話しなら待っている間に聞きますよ」
蔵子さんは申し訳なさそうに断った。
どうやら本当に用事があるらしい。
「いえ。僕の方こそいきなりごめんなさい。覚えている高校時代について教えてもらえますか? 」
僕は蔵子さんの記憶から蔵子さんと今猿社長……いや 今猿さんを苦しめたやつのヒントがないか探そうと思った。
「なぜ高校時代のことを知りたいのですか? 」
蔵子さんは痛いところをついてきた。
さすがに『蔵子さんを脅迫したやつを探してます』なんて今の蔵子さんには言えないしな。
「僕のこと思い出してほしいからです」
僕は
「わずか1年で親の都合で転校し、アメリカに留学しました。吹奏楽部に入って、トランペットを選び、大会出たりしましたね。うっかり階段から落ちて、怪我でサポートに回りました」
蔵子さんが思い出しながら言った。
なるほど。あの階段から落ちた時のことはうっかりになってるのか。
「言いたくなかったらいいのですが、誰かと付き合ったとか好きだった人とかはいませんでしたか? 」
僕は失礼なことは承知で蔵子さんに聞いてみた。
「いいえ。いませんでした。言いたくないのではなく、本当に」
蔵子さんは僕の目を見ながら言った。
完全に僕のことは忘れてしまったようだ。
それどころか不知火のこともなかったことになっている。
「
別に不知火のことなど完全に忘れてもらって結構だが、蔵子さんの記憶がどうなってるのか知らないといけないから質問した。
「不知火くん?ああ、いつも私に親切にしてくれた人ですね?吹奏楽部の人はみんな覚えてますよ!片岡あやめちゃん、
蔵子さんはズラズラと吹奏楽部のメンバーを言っていった
そこに僕の名前がないのが悔しい。
「クラスのやつは覚えてますか? 」
覚えてることはどんなことでも聞きたかった
「
中川海未……誰だっけ? ああ、ガリ勉でいつも蔵子さんをライバル視してた女子か。
「あっ迎えが来たみたいです」
蔵子さんがシルバーの車を見ながら言った。
車から背の高いイケメンの男性が出てきた。
まさか蔵子さん今猿社長と二股してるんですか?
「どうも、初めまして。蔵子の兄の
そのイケメン男性が挨拶してきた。
あっお兄さんでしたか……大変失礼しました
口に出して言わなくてよかった。
「それでは橘さん失礼します」
蔵子さんがそう言うとシルバーの車に乗っていった。
蔵子さんのお兄さんって家を出ていったんじゃなかったっけ?
「僕が蔵子さんの記憶を失った時はここまで変わらなかったぞ」
僕が権蔵に向かって言った。
「それだけ権太が蔵子の人生に大きく関わっていたということじゃな」
喜んでいいのか悲しんでいいのか。
蔵子さんを不幸にしてたのは僕みたいじゃないか。
「権蔵は誰が犯人とかわからないの? 」
最強守護霊ならできないことなんてないのではと、僕は思った。
「やってみよう。ふんぬ! 」
権蔵は何やら唱え始めた。
「うっ! 肝心なところで邪魔が入ったわい。すごい怨念じゃ。権太への恨みがすごい……わかったのは『権太と会ったことある人物』じゃな。」
えっ? 僕そんなに恨まれてるの!? 普通に平凡に生きてきたのに。嘘だろ?
今の所わかったのは『学校内にいる人物』『僕が会ったことある人物』ということだけか。
完全に行き詰まった。どうしよう?
肝心な蔵子さんが記憶が無い。僕1人+権蔵だと難しいかもしれない。
協力者が必要だ! 今猿社長なら分かるはず!
「そういえば、何で今猿さんは笹野ありすのことを覚えていたんだろう?」
僕はふと疑問に思った。
「ああ、わしが
権蔵がぼんやりしながら言った。
なるほど。それでか
「しかし、犯人探しは協力してくれるかもしれんが、蔵子に関しては協力してくれんぞ」
そうだよな。犯人見つけても、蔵子さんが結婚してしまえばゲームオーバーだ。
今猿さん並に蔵子さんのそばにいて、かつ僕に協力してくれそうな人は
……
……
……
……
今猿さんのことが好きな如月さんなら協力してくれるかもしれない。
僕は早速今猿コンサルティングに向かった。
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