俺ガチャその3「斬り殺された死体」
僕はアイデアの奴隷
刃物が役に立たない世界。
この最高の舞台で、何を描けばみんなが驚いてくれるのか。
答えは非常にシンプルだった。
「斬り殺された死体」だ。
この世界で斬り殺された死体が発見されれば誰もが驚くに違いない。
だって誰も斬れないんだから。
こんな不可能犯罪は他にない。
この「刃物の切れない世界で斬り殺された死体が見つかる」というアイデアは、物語をバトルものからミステリーに書き換えることになる。
読者としてミステリーを読むのは大好きだ。
好きな作家は岡嶋二人と貫井徳郎。
どちらも平易な文章と抜群のアイデアで物語を紡いでいくミステリーの名手であり職人だ。
だが僕自身は真正面からミステリーを書いたことがない。
少しだけ臆したが、結局書くことに決めた。
基本的に僕はアイデアに引きずられて小説を書くタイプである。
竜斬でも「えー、医療のことなんて知らねえよ」とぼやきながら資料を集めた。僕は良いアイデアに対しては奴隷になることにしている。どんな難しい案件であっても、文句を言うことは許されない。
再びアイデアの穴埋め作業に戻る。
あり得ないはずの切断死体が目の前にある。
直面した登場人物は思うはずだ。
――いったい誰がどうやって?
この地点ではまだその解答は見えていなかった。
だが、この問いが一番面白いのなら、あとは正解を探してやるだけなのである。そして僕はこの解答は根気強く考え続ければどこかでぶち当たる予感がした。むしろ確信に近かった。ここは多分なんとかなると直感的に思ったのだ。
なのでこの解答についてはここで一旦手放して、またしても生まれた問題点について次項で説明していこうと思う。
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