15p
そのつむぎから誘われれば、幸一だって彼女が自分を利用するつもりらしい事は想像できた。
けれど、利用されると分かっていても、つむぎの誘いを断る事を幸一はしなかった。
つむぎは社で一二を争う、マドンナと言われる美女。
浮気相手としてはおいしい相手だ。
それに、つむぎ本人がビジネスと割り切った気持ちで近づいて来たなら幸一にとってはうってつけの相手だった。
面倒くさい間係になりそうな相手で無い事が、幸一にとっては一番なのだ。
しかし、お互い割り切った関係で始まったはずだったが、二人は拗れた。
理由は、つむぎが幸一に本気になってしまった事にある。
つむぎは男にハマりやすい性格だったのだ。
つむぎは幸一にドップリとハマり、妻、香美代との離婚を要求する様になった。
つむぎの要求を、始めはのらりくらりとやり過ごしていた幸一だったが、つむぎが自分達の関係を香美代に話すと脅しを掛けて来た事で、幸一はつむぎのご機嫌取りに終始追われる羽目になってしまった。
自業自得とは言え、幸一が今、一番手を焼いている女がつむぎなのだ。
「蒙葉君……彼女ならクリスマスイヴを狙って髪を送って来るとかやりそうだな……彼女、事あるごとに離婚話を振って来たし。蒙葉君は……うん、保留にしておこう。残るは、我毛君か……」
我毛育代。派遣社員にして社の影のお局として恐れられる彼女は、部署で幸一が最も信頼を置く人間であった。
とにかく彼女は仕事が出来た。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます