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 カサリッ……










 音がした。

(何だ?)

 幸一は、音がした方を見る。

 テーブルの方から音は聞こえた。

 幸一はテーブルに近付き、その上に載っている物を眺める。

 テーブルには、冷えきったご馳走と、髪の詰まった小包がある。

「クソッ! この髪のせいで!」

 幸一は舌打ちすると、音の事は気のせいだと決めて、テーブルから離れ、再び矢藤冨士江の正体について考え始める。 

(さあっ! 考えろ俺! 次は……丹波君はどうだ?)

 丹波月の姿を頭の中に思い描く幸一。


 幸一と月との関係は三年ほどになる。

 彼女が入社した年から関係が始まった。

 付き合うきっかけは絹子と似た様なものだ。

 月は、同期のまゆみといつも比べられていた。

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