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 まゆみは優秀だ。

 優れた者と比べられる事は月には大変苦痛だった。

 幾ら頑張ってもまゆみには劣る。

 まゆみは評価されても自分のした事は出来て当たり前と言われてしまう。

 仕事だけでは無い。

 まゆみは容姿までずば抜けている。

 月は完全にまゆみのおまけだった。

 そんな月を、ただ一人、高評価したのが幸一だった。

 幸一は彼女の頑張りを褒め、彼女の仕事を褒め、彼女が関わるプロジェクトが上手く行く様にサポートした。

 月が辛い時には一晩中慰めたりした。

 月は自分を支えてくれる幸一にのめり込んでいった。

 最近では、幸一のサポートも有って、やっとまゆみと肩を並べられる様になり、仕事でもプライベートでも、月は幸一に依存している。


(うーん、丹波君は……微妙だな。いや、でも、彼女は俺が結婚している事を承知の上で付き合ってるよな。丹波君からは今まで一度も香美代との離婚を迫られた事は無いし、丹波君は控え目な女だから、髪なんて送りつけて来ないだろう。丹波君は……うん、無しか……。そう、離婚話しと言えば……)

 幸一が、離婚話をキーワードに次ぎの女の顔を思い浮かべようとした、その瞬間…………








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