第8話 ア・バオア・クー

UC0079 12月29日

星一号作戦発令。連邦軍第1連合艦隊(レビル艦隊)、ソロモン出港。艦隊編制を行いつつ、集結。

12月30日

公国軍、基本ターゲット、ゲル・ドルバでソーラ・レイ照射。連邦主力艦隊の30%以上が失われる。軸線上にいたレビル大将のみならず、デギン・ザビ公王も乗艦とともに

焼失。


12月31日 00:00 連邦軍上層部、星一号作戦の強行を決定。


ア・バオア・クーでの戦いが始まって行く


「始まったか…」

「ああ、ついにア・バオア・クーに

連邦が来たね。」


「勝ち目はあるんでしょうか…」


「限りなく低いだろうね。

大佐のジオングで艦隊を落としたとしても

必ずガンダムは来るだろうし。」


「ニュータイプですか…」


「彼らはお互いの存在が分かるらしいからね。」


「で、どうする。

ア・バオア・クーが落ちればここも落ちるぞ。」


「…あの機体が連邦の手に渡れば

ジオンに光は無くなる、けれど

例え終戦したとしても力があれば

再び立ち上がることは出来る。」


「ああ、これで終わりではない。

あの機体が新たなジオンの力となれば。」


「そうすることが僕達 技術者の役割。」


「コムサイを手配しよう。我々は兵ではない

から敵前敗走ということにもならない。」


「ゲルググSJをランチに乗せる、もしもの時の為にパイロットも連れて行こう。」


「僕はアミダさんとクエルさんを呼んできます!」


「頼んだ。

そういやゲルググSJのSって シャア専用のSだよな?」


「そうだけど?」

端末で何やら文字を打ちながら対応する。


「なら…実質今はアミダ専用機じゃないのか?」


「そういえばそうだね…

アミダもグラナダじゃあ階級は中尉と高くは無いけど中々の腕だしね。」


「……アミダの髪の色はこのゲルググと同じ色だよな。」


「緋色だよ。ドイツ語で

Scharlachrot シャルラッハロート

おっ、ちょうどSだね。 」


「じゃあゲルググSJのままでいいな。」


「緋色の狩人、シャルラッハ イエーガー

なんだかエースパイロットみたいだな。」


「うーん、アミダはこの機体を初搭乗で完璧とはいえないが乗りこなしていたし、隊長機を撃墜して見せたからね。案外エースも、夢じゃないかも。」


「…かもしれんな。」


「アディさん、お連れしました。」


「アミダ中尉、依頼があるのですが。」


「は、はい。どの様な依頼でしょうか?」


「最新鋭MSを輸送するランチの護衛をお願いしたい。」


「いいですが、上司に話を通して貰わないとどうしようも…」


「それでしたら、ジオニック社開発部門

ハズビー・ノーマン主任に話は通してありますので問題ないかと。」


「それならば、謹んで受けさせて貰います。」


「正式に護衛任務として軍の方から

後日来る筈ですのでそのおつもりで。」


「はい…あの、普段通りの話し方で良いですよ、なんか疲れます。」


「任務依頼の通達だから一応ね。」


「ドリーさんにクエルさんもお久し振りです。」


「ああ、久しぶりだな。」


「お久しぶりです。」


「というか、ラウ君のことは知ってるのかい?」


「ええ、ゲルググの性能テストの時に会ったことあるのよ。」


「はい、顔見知り程度ですけどね。」


「そうなんだね、知らなかったよ。」


「 全員揃った事だ、早速取り掛かろう。

作戦だが、ある情報が入っていてね

カラマ・ポイント宙域に勢力が集結しつつ

あるとの事だ。見切りを付けた者達が集ま

っているのだろう。我々もここへ 用意した

コムサイで向かおうと思う。

勿論ゲルググSJを載せてね。 」


「異論は無いかい?」


「…他の皆は連れていけないのか?」


「それは難しいだろうね。定員もギリギリだし、何よりも此処がもぬけの殻だった場合

連邦軍は必死になって探すだろう。

そうなれば意味が無いからね。

悲しいけれどこれは戦争なんだ。

分かってくれるね?」


「ええ、彼らも軍人よ、…死は覚悟してい

る。」

………

「 何よりも時間が無い。重要なデータは回収、連邦に渡らないよう消去。

簡単な整備に必要なものと1週間分の食料は持っていくようにね。」


「了解した。」


…………

12:05 キシリア・ザビ少将、ア・バオア・クーから脱出を図るも、乗艦していたザンジバル級機動巡洋艦を撃沈され、戦死。


「キシリア様が…これはまずいな。

脱出を急ごう。皆どう?」


「あぁ、あと少しでコムサイは行けるぞ!」


「了解。急いでくれ予想以上に戦況の動きが早い!」


「分かった、急ごう。」


「アディさんデータ収集終わりました!」


「ゲルググSJコムサイヘ収容させます。」


「コムサイ、ハッチオープン

ゲルググSJ収容確認ハッチクローズ。」


「アディ!コムサイ行けるぞ!」


「へー意外と広いんだね。」


「入ったこと無かったなー。」


「アディさんがこの中での艦長ですよね?」


「うちの部署のリーダーだからそうなるな。」


「艦長か…なら、 それらしくしなきゃね。

全員Gに備えよ!

コムサイ全速前進、発艦!!」


「コムサイ発進。

エンジン良好、レーダー良好、問題無し。」


「クルー全員 戦場で散っていった

戦士一同に敬礼!」


この後、18時 30分

ジオン共和国臨時政府、

サイド6を通じ、地球連邦政府へ終戦協定締結を打診。


だが、戦争の火は未だ燃え続けている…

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る