第19話 ピリオド

僕と由梨、いや、HIROとMIYAの本、

「マリン」は、なかなかの売り上げを記録した。


嬉しかった・・・売れた事がではない。

これにより、僕の名前が半永久に残ることとなった。


でも、周囲にばれないように、祈った。

メディアへの出演依頼もあったが、全て断った、


由梨も断り続けている。


だが、ファンレターには丁寧に返事を書いた。

もちろん、PNだが住所は、出版社にしている・・・


だが、本は続けて出さないと意味がない。


「忠志くん、今度はどんな本にする」

由梨が訊いてきた。

「前回は、海だったから今度は、空でいこうか・・・」

「うん、それでいこう」

「わかった」

何だか照れくさい・・・


「ねえ、忠志くん」

「何?」

「今度は忠志くんが先に絵を描いて」

「僕が?」

「うん、わたしがそれに合わせてポエムを書くから」

それで、話は落ち着いた。


「約束だからね」

「うん」


マリンの時は、ふたりで書いたが、まずは僕の絵を、編集者である由梨の父に見てもらおう。

それで、話は落ち着いた。


何度か描き直しをさせられたが、妥協は許されないので当たり前だろう。

でも、由梨が少しでも書きやすいようにと、がんばった。


そして、由梨の父である編集者から、OKが出た。

それを由梨に見せると、怒られたが、それでも、喜んでくれた。


「負けないように、いいポエム書くね」

そう約束をしてくれた・・・


だが、その約束が果たされることはなかった・・・


その夜、由梨は睡眠中に異常をきたし、17歳の短い生涯をとじた。

突然に・・・


ピリオドが打たれた・・・

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