第18話 スタートライン

そんなわけで、引き受けた・・・

PNも(勝手に)決められた・・・


HIROだそうだ・・・

おそらくは、いわさきちひろさんから、取ったのだろう・・・

ちなみの、由梨のMIYAは宮沢賢治さんらしい・・・


互いに覆面ということで、素情は公開しないことにした・・・

なので、周囲には、ばれることはない・・・


さて、これまでは楽しんで描いていたイラストだが、

仕事となると、それだけではいけない。


当然、厳しくもなる。

描きなおしもさせられる。


でも、それを辛いとは思わなかった。

むしろ、嬉しかった・・・


それだけ、由梨と一緒にいられる時間が長くなる。

それだけで、幸せだった。


「この子の絵は、もう少し丸く描いてね」

「うん」

「この子は、目を大きくしてね」

「うん」


由梨は以前言ってた。

「君の絵は、修正を嫌う」と・・・

でも、注文をつけてくる・・・


最初はとまどったが、今はもう満足だった・・・


もちろん、僕からも注文を付ける事はある。


そして、互いに満足した後で、由梨の父であり、編集者である方に見てもらう。

互いにかきなおしもさせられるが、もうプロなので当たり前だろう・・・


それが、嬉しかった・・・


しばらくしてから、ようやくGOサインが出て、本を出版することになった。

題名はふたりで考えて、マリンとなった。


由梨のいとこの名前だが、わかりやすいほうがいいだろう・・・

海のように、広く・・・そして、深く親しまれるようにとの意味がある。


できあがった本を見て、由梨と握手した・・・


印税は決めていなかったが、お金はどうでもよかった・・・

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