第17話 変わる日常
「改めまして、こんにちは。
由梨の父です」
「由梨の母です」
「あっ、忠志です。森山忠志です。いつも娘さんには、お世話になっています」
お見合いみたいだった・・・
由梨は席を外している。
「こちらこそ。由梨と仲良くしてくれてありがとう」
ご両親に、揃って言われる。
由梨がいない間、僕の事を聞いていたのか、
ご両親の方から、いろいろと話をしてくれた・・・
しばらくすると、由梨が戻ってきた・・・
「おまたせ」
そうやって、ご両親の間に腰を下ろす。
(尋問されているみたいだな)
しばらくすると、由梨のお父さんから話を切り出してきた。
「君の絵、見させてもらったよ」
「あっ、どうも・・・」
突然の事で、他に言葉が出てこない。
社会生活には、不適格だな・・・
「で、本題なんだが、忠志くん」
「はい」
「由梨のポエムのイラストを描いてあげて欲しい」
「それなら、この前描かせていただきましたが・・・」
少し間をおいて、お父さんが口にした・・・
「そうじゃない。趣味ではなく、仕事として依頼したい」
「えっ、でも由梨・・・いえ、由梨さんは・・・」
「実は、私の仕事は雑誌の編集者なんだ」
「そうなんですか・・・」
驚いた。初耳だった・・・
「そして、由梨はプロのポエットだ・・・」
「すいません・・・春日由梨というポエットは、存じ上げていないのですが・・・」
失礼とは思ったが、事実なので仕方がない・・・
「なら、覆面ポエットの、MIYAは知っているね」
「はい。ベストセラーですよね。持ってます」
「それが、由梨なんだ」
「何ですって?」
驚いた。
顔だしが嫌いで、メディアにも出ない、あのMIYA・・・
それが、由梨だったなんて・・・
由梨を見る。
笑顔でうなずいた・・・
クリエイティブな世界は、親の力は通用しない。
著名なポエットになれたのは、彼女の努力と才能だろう・・・
「由梨の本を持っているのなら、差し絵がないのは知っているね」
「はい。不思議でした。中身はもちろん、表紙にもありません」
由梨が話してきた。
「実は、お父さんと探していたの?私のポエムに合う絵を描ける人を・・・
それが君だった」
「でも、僕の絵は、自由に描いた方がいいって・・・」
「うん、確かにね・・・でも・・・」
「でも?」
「私のポエムは、誤解されている面もあるの?
文章だけなので伝わりにくい・・・だから合う絵を探していなの・・・」
「それが、僕?」
「うん」
由梨はうなずいた・・・
棚から牡丹餅というが、牡丹餅はそうそう棚の上にはない。
なければ、自分で作るしかない・
そうすれば、自分の牡丹餅を気にってくれる人が現れる・・・かもしれない・・・
そして、ここに現れた・・・
そいうことか・・・
でも簡単には、OKできないだろう・・・
でも・・・
由梨はすごい剣幕で言う。
「YESかNOか、ここで決めなさい。男の子らしく」
「やります」
圧倒されて、そう答えた・・・
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