第6話 唐突

しかし、いざ描くとなると、難しい・・・

自分のイラストと違い、好き勝手に描けない・・・


由梨の詩を、最大限に生かせる絵を描かないと・・・

(ためしに、下書きしてみるか・・・)


引き出しから、大学ノートを取り出し、さらさらと描いてみる。

どれもこれも、合わない・・・

(思ったよりも、難しいな・・・)


でも、引き受けた以上はやろう・・・

そう誓った・・・


その時、スマホがなった・・・

「もしもし、忠志くん」

「どうしたの?」

「今度の連休、暇?」

「うん。予定はないけど・・・」

「じゃあ、旅行に行かない」

驚いた・・・さすがに、冗談だろ・・・


「冗談だよ・・・ね・・・?」

「ううん、本当」

「誰と?」

「私と君のふたりで・・・」

「日帰り?」

「泊まり」

さすがに、それはまずいんじゃ・・・


「大丈夫よ、私の親戚のところだから」

とはいっても、さすがにまずい・・・


「私も、君も、刺激を受けたほうがいいでしょ」

「確かに・・・」

「詳しくはまた、電話するね・・・」


(随分と、オープンな子だ・・・)

今更ながら感心した・・・


ただ、周囲にばれない事を、祈った・・・




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