第7話
次の日の朝、天気はよく、霧もある程度はれ、とても探索日和の朝だった。
・・・はずだった。
せっかく出発の準備も整い、ついにこれから始まるんだ!と意気込んでいたのに神のいたずらか先程まで「ある程度はれ」とか言っていた空は一瞬で真っ白、いや灰色の曇天と化し、霧も空と同じようにもくもくと先が見えなくなるほどに濃くなっていった。
ということで、初日は一日中周囲が完全に霧がかかっていてしぶしぶ中断。ひたすら作戦会議と外を眺めるという最悪の日になってしまった。
しかし、ただただぼおーっとして天気を待つほどの私ではない。
もしも霧がうっすらとかかっているぐらいのとき、遠回りになるとしてもできる限り霧を避けて進むことにした。もしも周囲を霧に囲まれてしまった場合は、ガスマスク、防護服を着用し、霧を採取して帰ることとした。
二日目も初日と同じく霧がかかっていたが、初日ほどのものではなかったため、初日の作戦で決めた霧の採取を試みた。しかし、採取に行った者は何時間待っても帰ってくることはなかった。
三日目、採取用の機械を作り、ついに霧を採取。しかし霧を調べる科学者が実験中に倒れ失敗。
・・・・・・そして一週間が経ち・・・・・・爆発した。
「もお~~無理っ!!もお我慢の限界!身体がなまっちゃうよ!」
あ、うん爆発したのは私ね、だから大丈夫よ。いやでも実際、他の隊員のみんなもさすがにそろそろって顔してたし、何かここ最近隊の中でもため息を聞く数も増えたしね。
「うーむ、我慢は大事だ、と言いたいところではあるが、今回はこの俺も正直フィーの気持ちがわからんでもない。この一週間俺たちは何もすることができていないしな・・・。」
珍しく私に賛成してくれたバッツさんを見直しつつも私はこのチャンスをみすみす逃しはしない。
「でしょでしょ!じゃあ明日!明日の朝出発しましょ!」
「むむむむ・・・そう簡単にじゃあ明日と言われてもな・・・。」
ムム、しぶとい・・・。しかーし、この程度ではひるまないわ!
「わかりました、ではこういうのはどうでしょう。探索日までの最低ラインを決めて、そこまでにも晴れなかったら出発する、というのでは?」
「ぬぬ~、よしわかった!三日、今日から三日経っても晴れなかったら少し危険だったとしても出発しよう!」
まあ結果オーライかな、私の畳みかけも意味なくはなかったということだ。よくやった私!
そして次の朝・・・・・・
「はいキター!来ましたよバッツさん!晴れ、はれ、ハレー!」
「わかったわかった落ち着け。」
私はいつも通りの通常運転だが、バッツさんは心なしかどこか嬉しそうな表情を浮かべている。バッツさんもやっぱり探検家なのだ。
前置きはいいですね、はいそうですついに晴れました。この日はもうこれまで夢でも見てたんじゃないかというぐらいの晴れ。雲一つなく冴えわたり神様が贈ってくれたとしか思えないほどの晴れ。
「んー、本当にいい朝!もう私の全身にめぐっているありとあらゆる好奇心ちゃんがうずいてうずいてしょうがないよ!」
「昨日の夜も言ったけどちゃんと落ち着いて行動しろよ!」
バッツさんはいつも通りの叱咤のつもりだろうがやはりバッツさんも今日はどことなく嬉しいのか少しにやついた表情を浮かべている。
「はーい、わかってますよー!」
隊長のいつも通り(ということにしておいてあげよう)の注意に私はいつも通りの返事をする。これから一時間と経たないうちに死と直面するようなことになるとはおそらくここにいる誰も思わなかっただろう。
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