第4話

 男は無我夢中で走っていた。


 もう走れないかも、そう思った男の目の前に天の恵みか自分たち隊が入ってきたドアが目の前に現れていた。

ウアアァァァーーーッッッッ

 男は彼の生きてきた人生の中で最も大きいであろう声で叫び、ドアに猛スピードで頭から突っ込んだ。

 帰還した男の臓器はドロドロに溶けていて死因も全くの不明だそうだ。

 ちなみに男は最後に気も狂わんばかりにこう叫んだという。


「消えていったんじゃない、俺たちはあの『世界』に食われたんだ。」、と。


まあそろそろこの辺で自称神様の長ったるかった語りも一旦切ることとしよう。

ここからは物語の主人公なりヒロインなりが進めてくれるよ。

まあ最後にこの物語の主人公を紹介しておこう、後はこの子が進めてくれるだろう。


「いやー最近本当に怖いわねえ~、最近の天界には楽しそうなことがたくさんあって退屈しないわ。」


 このちょっと非常識・・・いや勇敢な人物こそこの物語の主人公であり、民間新界調査団副隊長カヴァリー・フィールちゃん。

 十七歳のすこーしばかりおてんばな女の子。

 みんなに迷惑ばかりかけながらも頑張っている


いやいい子なんだけどね、ちょっとだけ行動がうるさ・・・まあ後はこの子に任せた、さてさてどんな物語になるのやら。

僕はここいらでおいとましようかな、いつかこの物語とまた関われることを信じてね・・・・・




「いやー最近本当に怖いわねえ~、最近の天界には楽しそうなことがたくさんあって退屈しないわ。」


「おい、フィー。お前さっきっからそればっか言ってるけどいくらなんでも常識知らず過ぎるぞ。少しは自重しろ、全く・・・。」


 あ、初めまして私の名はカヴァリー・フィール、民間新界調査団の副隊長よ。

 で、さっきなんか小言を言っていたのが私の上司で民間新界調査団の隊長のバッツさん、もう年も四十過ぎで奥さんと息子さんの三人暮らし。

 私が一緒に住もうとしたら息が詰まっちゃうよ。


「というかバッツさん、民間新界調査団なんてダサい名前どうして受け入れちゃったんですか。前のチームエクスプランでいいじゃないですか。」


「断ろうにも断れんだろうが、王宮だぞ王宮。俺たちに頼んでくれただけ感謝すべきだろうが。」


 私たち新界調査団は前はチームエクスプランとして三十人ほどで探検隊を組んで依頼を受け活動していた。

 今日はその仲間たちと打ち合わせをする予定なんだけど、バッツさんはどうやらあまり乗り気ではないみたい。


「感謝とか言ってますけどじゃあどうしてそんなに落ち込んでるんですか?隊長がそんなんじゃみんなもやる気出ませんよ。」


「そんなことはわかっている、わかってはいるのだが・・・。考えてもみろ、あの王宮新界調査団がたった一人、しかも瀕死の状態で帰ってきたんだぞ。誰がそんな仕事やりたがるんだ。」


「じゃあ何で請け負っちゃったんですか。」


「・・・・・。」


 しばらく身体を小刻みに震わせながら、二十秒ほどしてバッツさんはついにこの沈黙を破った。


「お、お、お前が勝手に、『は~い、やりますやりま~す。』とかのんきに答えたんだろうがーーーーっっっ。」


「え、いやだってあそこで断るとか情けないし、かっこ悪いじゃないですか。何より私たちは探検家ですよ?こんな楽しそうなものに食いつかないわけないでしょ!」


「当たり前みたいな顔すんじゃない!!そのおかげでこっちがどれだけ肝を冷やしたと思ってんだ!少しは俺の気持ちも考えろーーーーっっっ!!!」


 全くどうしてこの人はいつも性懲りもなくすぐキレるんですかね?

 私は一探検家として当たり前のことをしたと思うのですが。


「バッツさん、そんなに怒ってばっかいると寿命が縮んじゃいますよ。」


「お前っていうやつは・・・。もう怒る気力すらなくなってきたな・・・。」


 この後、二人で隊のみんなに説明しに行った・・・んだけど大丈夫!

 実はもう私がとっくにみんなを説き伏せてたからね!

 まあめっちゃ時間かかったんだけどね・・・。

 あの時のバッツさんの私を見る顔といったら本当に見ものだったわ!


 そんなこんなあって二週間後、ついに私たちは新界へと旅立つことと決まった。


「全員で行くことは結局叶わなかったが、まあ、よかったな。」


「そうですね!もう私うずうずが止まりません!さあ、私たちも早いことドアをくぐりましょう隊長!」




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やっと主人公登場です!長いくだりも終わって本筋は書きがいがありますね。飽きそうになっている人、どうかこれから先も見てください!

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