第26話 不思議な入居者2
ふうさんはそれを聞いて少し微笑むとふたたび自分の部屋へ向かった。
なんというか自分がこのアパートに入ってきたての頃を思い出すな……。
部屋に入ったら見知らぬ人が何人もいて誰か来た、みたいな感じでこっちに話しかけてきたから、とんでもなく恐怖を感じたよ……。
幸い、今回はなんとかかんとかその事態は阻止できたからいいかな?
「うわぁぁぁぁ!」
いや、悲鳴聞こえてんじゃん。
とっさに私がふうさんのところへ駆けつけると、部屋の中にはモスカちゃん。
「あたらしいおねーさんがくる、ってつかさおねーちゃんからきいたからおどろかそうとおもったの……」
これは……、とりあえず謝ったほうがいいでしょ。
「すみませんでした!」
「ごめんなさい」
私が頭を下げると、それを見たモスカちゃんも頭を下げた。ホントはいい子なんだから、ちゃんと謝るべき雰囲気もわかってるんだよね。
「いや、大丈夫ですよ。こんなアパート初めてですけど何が起きるかわからないって、ちょっと面白いですよ」
口ではそう言っていますけど、顔はひきつったままですね。
とりあえずふうさんを部屋へ入らせると、私が先人をきって誰かが隠れていないか入念にチェックする。
誰もいなかったので、とりあえず安心した。
「すみません、わざわざこんなことさせてしまって……」
「大丈夫ですよ、このアパートの人達はサプライズが大好きなので……。とりあえず、何かあったらまた相談でもなんでもしてくださいね」
「本当にいろいろと、ありがとうございます。みかんさん」
ふうさんはひきつったような顔ではなく、笑顔でこういった。わたしもその笑顔につられて笑顔になってしまう。
そうやって、いい気分で部屋を出ると、外ではすでに宴会モードの人たちが鍋をつついたり、焼き肉をやっていたりといつものような賑やかさだ。
麻さんをいじっている司ちゃん。それを見てわらうふみちゃん、明月、フレス。寧さんの膝の上に座っているモスカちゃん。と、モスカちゃんと遊んでいる蛇ノ目さん。えりちゃんと碧ちゃんは仁義なき味噌バトルを繰り広げていたし、バル子ちゃんは久しぶりのおでんに舌鼓をうっている。端の方で希望ちゃんとトラベレイターさんが盛り上がっていた。
こちらに気がついた寧さんが、私を呼んでくれる。
そこへ行こうとすると、後ろから声をかけられた。
「みかんさん、ボクもご一緒していいですか?」
それはふうさん。少しばかり緊張した様子だったが、このアパートの住人に挨拶しなきゃいけないし、それになんだか楽しそうだ。
「いいですよ、ふうさん」
私はそう言うと、ふうさんと宴会に参加した。
最初はぎこちなかったふうさんもすぐに馴染めたことだし、一安心。
このアパートも、もっと盛り上がりそうです。
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