第25話 不思議な入居者
このアパートには、不思議な人達がいて、そんな人達でも楽しく暮らしています。
季節は桜が咲く時期で、このアパートにも新たな入居者が入ってくることになるのですが……。
正直、私にはよくわかりません。このアパートでの生活が普通になりすぎてしまって新たな入居者がどんな反応をするのか……。
とりあえず、また麻さんたちが宴会を始めると思うので、私はそれを見張ることにします。
とはいえ……。
「なんで私の部屋で料理を作っているんですか?」
「いや、このアパートで料理ができる人がいるのってみかんちゃんの部屋くらいかなってなっちゃったから……」
そう言っているのは寧さん。
「そうかもしれないですけど……、どんな宴会にする気ですか?」
「とりあえず麻がコンビニ行って袋いっぱい買ってきたからとりあえず、それを使い切るところからかな」
「仕方ないですね……」
今日の宴会のメインはおでんらしいが、なぜか手作りでおでんを作ろうという話になったという。
いやコンビニで買えばいいじゃないかと思うかもしれないが、コンビニで買おうとしたら人数分足りないんだってさ。
だから今はおでんの具材を煮込んだり切ったりつまみ食いしたりして、私の家のコンロやキッチンはフル稼働中だ。
それにしても、おでんって割と何でもありだとは思うけどもはや原型とどめてない闇鍋状態のものや、ぎゃくに誰が作ったんだというほど豪華なものもある。
とりあえず鍋がたくさん私の部屋にあることだけは確かである。
「あ、入居者の人きたみたいです」
ふみがそういった瞬間、何人かはおでんの鍋運びにシフトチェンジ。料理している人たちはおでんとにらめっこ。
麻たちはすでに宴会を始めているようだった。
というか、ほんとに何このカオス。
そんなカオスの気分転換にと外に出ると、見慣れない人というか、おそらく入居者の人がすごい不安そうにこちらを見てきた。
「あの、すみません……このアパートって、ここであってますよね?」
入居者の人は恐る恐る尋ねてきた。
「大丈夫ですよ……。いろいろな意味で」
私が苦笑いしてそう言うと、入居者の人も少し苦笑いで返し、自分の部屋へ向かう。
が、その途中でなにかに気づいてまたこちらへ向かう。
「どうしました?」
「あの、ボク、ふうって言います。ふうさんって呼んでいただけると嬉しいです」
「あ、よろしくおねがいします。私は夏樹みかんなので、みかんさんとかで呼んでいただけたら嬉しいです」
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