第19話 不思議な家庭

わたしは、歩賀寧。とあるアパートの一室に住んでいる普通の女子大生だったんだけど、このアパートに住んでいると普通っていうのは普通じゃないのかもしれないとすら思ってしまう。

なぜかって?

わたしは、異世界から召喚された子供を預かっているからです。


「モスカちゃん、今日はお昼ご飯何が食べたい?」

「アヒージョ!」

「うーん、あぶらっこいねぇ」

「じゃあじゃあ、お寿司!」

「そっかぁ、じゃあお寿司にしよっか」

そんなわけでお昼ご飯はお寿司に決定。ちょうどフレスが釣ってきたなんかでかくて美味しい魚もあるわけだし、ちゃっちゃと捌いちゃいましょう。

わたしはなれた手付きで魚を捌く。自炊をするときは冷凍食品か魚だったので当然のように週何日かは捌いていたのだ。

そんな間、モスカはというとぬいぐるみで遊んでいる。

ふみちゃんの手作り寧ちゃんとモスカちゃんぬいぐるみだ。モスカはこれで遊ぶのが大好きで、よくたべちゃうぞーってやっていたりしてかわいい。

シャリは今朝炊いておいたものを冷ましておいたので、それを握ります。

酢をかけます。

混ぜます。

握ります。

モスカちゃんが匂いにつられてやってくるので、手伝ってもらいます。

ネタをのせます。

麻さんが何故か匂いにつられてやってきます。

麻さんと一緒にいた明月くんもそれについてやってきます。

それをたまたま目撃した司ちゃんがふみちゃんとえりちゃんをつれてやってきます。

二人で食べるはずだったお寿司を七人で分けるのは無理なので、麻さんあたりが本格的な出前の寿司を頼みます。

結果として、お寿司パーティーが始まります。

「うーん、人がいっぱい来ちゃったね」

「まあさ、こんなけ人がいたほうが楽しいからいいんじゃない?」

そういったのは司ちゃん。

「明月、ビール買ってきてくれないか?」

「あいあいさー」

「未成年なのにいいの?」

「んなこたいいんだよ」

司ちゃんがやれやれというようにこっちを見る。まあ、麻さんだし仕方ないよね。


そんなわけで宴会場となってしまった私の部屋で、モスカちゃんは冷蔵庫から麦茶を出して、コップに注いでくれていた。

えらいよ!モスカちゃん!

そういった細かいことができるような子ってすごくかわいい。後でたくさん褒めてあげないとね。


「すいませーん、注文こちらでよろしいでしょうか?」

そう言ってきたのは寿司屋の人だろう。

麻さんが受け取ると、お金を渡した。

なんかすっごいお金を出していたような気がするが、気のせいだと信じたい。

「よーっし、寿司きたぞー!」

麻さんは景気良く言うと、出前の寿司を置いた。

すごいことになってるね、この家。おそらく、声も割と外に聞こえてたんじゃないかな。

だからきっと気づいてしまったのだと思う。

ピンポーン。


「お久しぶりです」

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