第17話 不思議な買い物

私と碧が一番最初に向かったところは、超有名服のチェーン店、ユニ☆クロであった。

機能性とシンプルさ、バリエーションに富んだ服が豊富にあり、組み合わせ方は無限大。というか割と誰でも着こなせる。

時期としてはこれから寒くなっていくだろうという頃。

厚手かつ、着ぶくれしないファッションが必須となりそうだ。


「とりあえず、ヒートテックを買っておかないとな」


と言って、碧はどんどん服をかごに入れていく。

そんなに買うのか?とも思ったが、5点で割引セールがやっていたため5点づつにしか買いたくないんだってさ。


「私は…」


ぱっと見えたのはモコモコのついたダウンジャケット。

多少大きいかもしれないが、風は通さなくなるしむしろモコモコのおかげであまり大きさが目立たないのでは、と思ったわけだ。

値段を見ると、税込み6800円。

お値段もかなりいい感じではなかろうかと思い、これを買うことにした。


ちなみに碧ちゃんは5200円という会計になっていた。

やっぱり買い過ぎなのではとも思ったが、本人は幸せそうだしまあいっか。


次に向かったのは、本屋さん。

私は手芸関係の本が売ってある場所に行くと片っ端から立ち読みしていく。

別に買って読んでもいいのだが、どちらかといえばデザインが知りたいだけなので買うほどでもないかな、と思ってしまったりする。

けど、コスプレ本は買った。推しのコスプレイヤーさんが載ってると嬉しくてつい買ってしまうものだ。


碧は勉強の参考本を漫画でサンドイッチしていた。

おそらく逆だと思うんだけどな…、と思ったが、人それぞれの感性がある。勉強しているところをあまり見られたくないのかもしれないな。


あとは生活必需品を買ったりとかおやつ買ったりだとか。

そうやっていろいろやっているうちに、日もだいぶ落ちてきていた。


アパートについた頃には夕暮れ空が私達を赤色に染めていて、もう冬だなと思いつつも碧ちゃんと別の部屋に入った。


私の部屋のポストには手紙が一枚入れてあって、なんだろうと思って見ると実家から手紙が届いていた。


わざわざこんなことしなくてもメールで十分なのに…。

と思ったが早速手紙を開けると手書きの文字が私の目に入ってくる。

それは、懐かしくて、暖かくて、少しだけ爽やかな匂いがしたのだった。


私は手紙をひと通り見終えると、すぐに実家に電話をかけた。


「お母さん、手紙ありがとうね」


「気にすることないよ。立派な娘が元気にやっているか気になっただけだから」


「うん、元気だし、不安もあったけど今は楽しいから」


「そうかい。なら安心だね」


そういうと、電話は切れる。それと同時に、家のチャイムが鳴った。

来ていたのは郵便屋さんでダンボール箱を持っている。

ハンコを押して受け取り、中身を見ると…


「みかんだ」


オレンジに染まったみかんが箱いっぱいに入っている。

私はなんか嬉しくなって、いい香りのするみかんをずっと眺めていたのであった。


それはアパート中に広まり、みかんが小さなブームになることなどその時は考えてもいなかったのだが。


不思議だな。

なんて思ったりしてしまっていた。


のだった。

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