第10話 不思議な花火

そこにはすでにこのアパートの住民が多く集まっていて、花火大会を催していた。


「なんでこんなに花火が?」


「あ、きっとフレスがコンビニで廃棄することになった花火を持ってきたんだよ」


そういったのはえり。

私より1歳年上だが、身長もあってか年下に見える。


「さてとわたしも司ちゃんたちと遊んでこよ」


えりちゃんはそう言っていってしまった。

私はどこに行こう?

花火大会はグループに分かれていて、女子大学生仲良し3人組グループ、明月やフレスがいる高火力花火グループ、線香花火片手にビールを飲む大人グループ、の3グループだ。


「みかんちゃん、こっちこっち」


私を呼んだのは寧さん。そこは大人グループで、寧さんもチューハイを持っていた。


「麻さんが伝えたいことがあるって」


「え、そんなこと言ってねえよ?」


「えー、麻さんのイケズー」


「とんだ無茶振りだな。まあ酔ってるんだろ?」


「うにゃー」


寧はそう言うとチューハイ缶を傾けて飲む。


「そうだな、とりあえず立っているのも何だ、すわってくれ」


「あ、はい…」


私は麻さんに誘導されるように椅子に座った。


「なんというか…あれだ。少しはなれたか?」


「初日のインパクトに慣れれば…」


「まあ、そうだろうな最近はだいぶ笑顔が多k…、なんでもねぇ」


麻さんはわざとらしい咳をしてごまかす。


「まあ、アパートの住人たちとも仲良くしてくれ。…俺は気にするな」


「何言ってるんですか?麻さんもアパートの住人じゃないですか」


「いったねー」


「ね、寧さん?」


「寝てないのかよ!」


「ふふ、プロポーズかな?」


「歩賀ァ!」


そういった麻さんの目は笑っているような気がした。


それから10分も経つと、花火はかなり少なくなっていた。

司さんが「七色花火!」といって高火力花火軍団を蹴散らしたり、碧がヲタ芸で花火もろとも不完全燃焼したり、それはもう色々。

今は明月とフレスが花火を使って魔法使いごっこをやっていた。


「いっけぇ!ファイナリティバースト!」


「わたしにそんな攻撃、フラスコバーン!」


「なに!?ならば、アルティメットファイア!」


「ふふふ、召喚魔法!」


明月がそういった瞬間、魔法陣が現れた。

魔法陣は、まばゆい光を発する。


そして、その魔法陣が消えたとき、そこには一人の子供がいた。


「ここどこ?」


子供が言った。

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