第11話 ハーゲンダッツ哀歌

 そんなにも君は待っていた


 老いて、濁りきった、白い瞳が僕を捉える


 せめて、これだけでも。と。


 ハーゲンダッツのアイスを一匙。

 君は美味しさうに味わう


 そうして君は仔犬に戻り

 少しだけ あどけない瞳をした。


 それからひと時

 昔山巓(さんてん)でしたやうな 深呼吸を一つして

 君の機関はそれなり止まつた


 君の写真と、小さな金の紗の袋に入れた珊瑚のような骨の前に

 今日も僕は、ハーゲンダッツアイスの蓋を置かう

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