第3話 可愛い過ぎるシニア

くっちゃいなあ

汚いなあ


でも可愛いんだよな


なあ


前の飼い主は何でお前のこと捨てたのかね?


俺は分かってあげられない。


だってお前可愛いもん。

控えめに言って天使だもん。


フィラリアで心臓はぎゅうぎゅうで

歯は抜かれたのか抜けたのか一本もない。


俺をじっと見上げる白味がかった

つぶらな瞳


何をその眼に映してきたんだろ


分かってあげられなくて、ごめんな。


いっぱい大事にするよ。

もう子供は産ませないよ。


病院にも、こまめに見せるよ。

やだよな? でも我慢な。


なんで人間て残酷なんだろ


俺は良い出来じゃない。頭も悪い。


だからかな、犬や猫を捨てるやつの思考回路がよくわからない。


共感、なんてしてやれない。


豆太郎。


雌だけど。くりっとした眼が豆みたいだから、豆太郎な。


ずーっと一緒だからな。


約束。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る