第2話 黒いふわもこ
俺の拾った黒いふわもこ
全然可愛くないんだぜ。
嚙み付く
引っ掻く
触ろうとすると逃げる
母ちゃんの尻ばかり追いかける。
餌をやらないからよ、と母ちゃんは云う。
そんなもんかね。
拾ったのは俺なのに?
ある日。昼寝してたら黒いふわもこが来た
なんだ可愛いとこもあるじゃん
黒いふわもこと寝てると時間はあっと言う間にすぎる。
俺、高校生。部活に忙しい。
バットを磨いてたら、黒いふわもこ、やってきた。
くんくん、匂いを嗅いでくる。
「あのなあ、これオモチャじゃないぞ」
そう言っても、聞きやしねえ。
ああ、全然可愛くねえよ。
自慢のバット、歯型がついちまった。
皆に笑われるだろうか。
しょうもない奴、拾ったな。
俺は社会人になった。
正月にしか実家には帰れない。
なあ。
黒いふわもこ。
なんで俺に寄ってくる?
なんで俺の指を舐める?
良い飼い主じゃなかった
良い飼い主じゃなかった
「何あの汚いの」
そう言った彼女は捨てた。
別に黒いふわもこのせいじゃない。
価値観が違う。そう思った。
今年、三人目の彼女を連れていった。
「可愛い! なんて名前なの?」
「ふわもこ」
「あらー! 可愛いねえ。よしよし」
嫁が決まった瞬間。
俺はこの子としか添えたげられないと思った。
なあ、黒いふわもこ。
俺、駄目駄目だったよな?
なのに何でそんな温かいんだろ
いつ消えちゃうんだろ。
俺たちの子供のお兄ちゃんになるまでは
ああ、もうこれ以上は書けねえよ。
段ボールに入ってた黒いふわもこ。
俺はお前が死んだって泣かないからな。
だからギネス更新めざそうな。
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