第3話フォグvsイレイサー戦
静かに雪が降り積もる極寒の地で、フォグとイレイサーは向き合っている。フォグは暖かな服に包まれているが、イレイサーは誰が見てもあまり寒さに強い服には見えない。
(これは辛いな……。これ以上戦闘が延びると、決着が着く前に凍え死んでしまう………)
「これ以上戦闘が延びるとイレイサーさんの方がまずいのでは?」
「……!」
フォグは心底心配そうな表情を浮かべながら、イレイサーに声をかけた。だが、今、二人は戦闘中だ。今の言葉がイレイサーを本当に心配してのセリフではないことは明白だ。
「いえ………そんなことはないですよ?その前にあなたを倒せばいいだけですから、ね!!」
イレイサーが強く踏み込み、一気にフォグとの距離を縮めた。純白に輝く聖剣を両手で持ち、振りかぶる。フォグは迫るイレイサーを静かに見据え、そっと片手を上げた。
「………アイシクル」
「っ!?」
ズガガガッと鈍い音と地震のような揺れを伴いながら、地面から氷の杭が無数に生えた。だが、イレイサーが聖剣を一振りすると、氷の杭はキラキラと輝く粒子となって砕け散った。
「はあああああ!!!」
イレイサーのフォグの氷をことごとく聖剣で砕いていく。
(砕く………?違いますね。あれはむしろ、”消し“ている………?なるほど、イレイサーは名前だけではないのですね)
「でも、それだけでは僕には触れることもできませんよ!!」
フォグが手をかざした瞬間、イレイサーの頭上で光が瞬き、巨大な氷塊が降ってきた。
「あっぐうっ………!!」
咄嗟の出来事に、聖剣を使うことすら出来なかったイレイサーは氷塊の下敷きとなる。氷塊と地面に体を挟まれ、息が止まったイレイサーは酸素を求めてガリガリと氷の地面を爪で削った。
「ああ、やっと大人しくなってくれましたね」
涙にまみれながら無様に喘ぐイレイサーをフォグは冷たく見下ろした。
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