老人と俺

それからは、とてつもなく気楽だった。世間様でいうストリートチルドレンに。

 誰も干渉せず、ただ通り過ぎてくれた。

 なのにある日それをぶち壊された。いや、これは世の中では幸せなことなのか。どうなのか。俺は老人に拾われた。暖かい食事と寝る場所を与えた老人は、俺に小さくてボロくさい骨董店の店番をさせる代わりに「必ず、朝食は食え」と、最低限の勉強を教えることとまかない料理が俺の賃金だった。


 まぁ、それでも法律違反だったけど。俺はこの時十五だったから。労働していい年齢じゃない。まだ「護られるべき」立場だった。

 でも自分で自分を守るしかなかったから、こうやって守った。

 

 まかないは・・・美味かった。

 スクランブルエッグ、目玉焼き、焼き鮭、オープンサンドイッチ、味噌汁。

 特に焼き鮭だけは格別だった。俺が拾われてから久しぶりに食べた食事だったから単にそう感じたのかもしれない。

 まぁその辺は個人の想像に任せる。

 と、まぁそこそこ平凡らしからぬ人生を歩んできた。

 

 十七になって、正式に骨董店で働かせてもらえることになった俺はずっと疑問に思っていたことを聞いた。

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