第3話

恨み。怨み。憾み。

-受けたし打ちに対する憎しみ。


呪詛は感情を糧として力を増す。

受けた屈辱と恐怖と苦しみ。

確かに村一つを滅ぼしても十分だろう。


ぴたぴたと。

歩く。


ガサガサと。

蠢く。


ぜぇぜぇと。

囁く。


湿った吐息が。

纏わりつくのを感じるほどの視線が。


私のすぐ後ろにまで迫っているのを感じる。


振り向けば負の感情に飲まれて死ぬだろう。


「だとしても」


私は立ち上がる。


「納得がいかないのよね」


振り向いた私の前に、途方もなく捻れて絡んだ二つの肉が立っていた。


闇の中でも解る大きな瞳が私を覗き込んでいる。


死の気配がじわりと立ち上る。


「なんで私を狙うんだよ!」


そう、私は怒っているのだ。

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