第6話あの子が欲しい


 どんな街にも、一つは都市伝説がある。人面犬や口避け女などだ、大概の都市伝説は、子供達を脅かすための大人の嘘から始まったのであろう。

 私、津田 正樹もそんな噂を扱う雑誌で働いている。

 「津田!ちょっとこっち来い」

 呼び出したのは、ここの編集長の福田剛志であった。

 「お前、いつになたっら面白い記事かけるんだ、書くもの書くもの、何処か前見たことあるものばかり、お前それでも、記者か、」

 「しかしですね、大概の雑誌が昔の話の使い回しではないですか、未だにノストラダムスの予言扱っている雑誌があるんですよ。」

 編集長は、呆れた顔で「お前な、それは物の価値が違う。フリーメイソンや、ビッグフットや、勿論ノストラダムスだって、未だに新たな発見が出てくる。UFO なんて、今後100年まだまだ、扱われるだろうな、」

 そう言うと、編集長は、私の書いた雑誌記事を開いたまま、テーブルに置き、「お前のは、価値がない。」

 私は机に戻り、ネットの噂話を見はじめた。ある噂にこんなものがあった。(あの子がほしい)たぶんはないちもんめの言葉を使った都市伝説であろう。

 私は、急いでこの部屋から出ていった。使い物にならないのは、自分自身分かっているからだ、ただ、編集長は私に頑張れという。嫌ではないが、これは、プレッシャーなのだ、怖い

 噂の街についたのは、昼過ぎだった。殺風景であるのは、商店街の閉店してある店の多さでわかる。まばらに開いた店に私は行き、あの子がほしいの噂の調査を始めた。

 「お前さん、東京からこなすったんですか、今のこの町には、なんの活気もないって言うのにご苦労なこって」

 「それで、噂のことですが、よろしくお願いします。」

 私は、寂れた町には、興味がなかった。

 「なら、話しましょう。あれは、三十年ほど前でしたか、この町が村であった頃に、きよという女が、東京から、引っ越ししてきたんです。美しい女性でねぇ、わしも、10代そこらだったがまぁー惚れたね。ただ、それだけ美しいと、村の女房達が噂し始めたんだ。あれは、男を惑わす獣だよ。なんだかんだ噂が回ると、男どもも話すと妻に(怒)やされると知ってしまい、誰も話さなくなり、きよは、一人ぼっちになってしまっていた。だがな、それでも、浮気したい男がいた。浮気がばれたときには、子を身ごもっていた。妻は、怒り狂い夫と女を殺した。だが、話は、それで終わらず。警察に自首したその妻は、牢屋の中で夢をみたらしい。あの子がほしい、あの子がほしいとあの女が囁いて、それから、何度か、同じ夢を見た後、その妻は牢屋から姿を消した。」

 牢屋からきえた。まさかこれは、オカルトなのか、だが、その後の調査で、確かに女は消えていた。そして最後、あの店のおっさんは、「決してこの話を口外してはいけないよ。ある男がネットにのせた後、その男は消えたらしい。」

 なら、あんたはどうなんだ、「わしは、ここから離れていないからだ、お主もここで住め、」なんちゅうなんでも設定だ。私は、会社に戻り記事した。

 だが、週刊誌に載ってから、一週間後私は夢を見た。赤い服の女だ。何度も同じ夢だ、だが、時間がたつにつれて、変化が出てきた。私の姿がみるみる若くなり、子供になっていた。そして女は優しく私に囁やいた。

 その後、津田という男はこの世界から消えた。ただ、テーブルの上に置かれた紙には、あの子がほしいを×して、あなたがほしいになっていた。 

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日常怪談 西田 正歩 @hotarunohaka

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