第3話飛べ・飛べ
マンホールの蓋を何気なく、小学生の頃に飛び越えた。
その日から、『飛べ・飛べ』と繰り返しあのマンホールの蓋近づいて行くと、聞こえてくるのです。
不気味ではありましたが、それほど大きくないマンホールの蓋を飛び越えると(声)は聞こえなくなるのです。
次の日も、また次の日も 帰り道のマンホールの蓋から声がするのです。
別の道からと考えてもいいのですが、回り道をすると十五分ほど差が出てしまい、仕方なくこのマンホールの蓋から声が聞こえる奇妙な道を歩いていたのです。
中学生になると、帰り道が一緒の友達ができて、あの奇妙な道を二人で歩くのである。
「飛べ・飛べ・飛べ・・・・・・」
マンホールの蓋を、いつものように飛び越えると、友達が「何してるの?」と訪ねてきた。
「んっ、ハハハ・・・マンホールの蓋を飛んだだけだよ。」
「マンホールの蓋?・・・・・・」
「ほら、そのマンホール」
僕は、友達に指差して見せたが、「ふーん」と素っ気ない顔をした。
それから、高校を卒業後、結婚相手を家に連れて行くときであった。
あの道を久々に通る私は、マンホールに近づくと、あの奇妙な「飛べ・飛べ・飛べ・・・・」の聞こえだしました。
しかし、高校を卒業して以来飛んではいなかったが、マンホールの蓋が大きくなっているように思える。
私は、それでも(癖)にでもなっていたのか?ピョーンと飛んでみせた。
すると、微かに足に靴の踵が付くと、不気味な声がマンホールから聞こえると、ボワッとマンホールの蓋が無くなり、大きな穴が現れ、「頂きます」の声と共に、穴は僕を呑み込んだのでした。
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さっきまで横にいたフィアンセがジャンプしたとたん姿を消してしまいました。
そこには、ただひとつマンホールが備え付けられている以外、人の姿はありませんでした。
その後も、フィアンセの姿を見つけることはできません。
大声で、名前も呼ぶがなんの返答もないのです。
彼女は、マンホールに近づいた時、「いっせいのうせい」と掛け声をあげて、飛びあがり、マンホールを踏みつけるのであった。
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