『恋愛軍師恋歌さんっ!』by大口 因幡
「『学校生活を楽しくしましょ!』そんな軍師の一言から全ては始まった」
〜あらすじ〜
「あなた、今の学校生活はつまらないって思ってるでしょ?私と一緒に学校を変えてみない?」彼女の一言を聞いた俺、宮本 タケルは過去の自分も、これからの自分も、そしてこの学校すらも楽しく変えられるって思ったんだ。
相談を受けた恋愛は絶対に成就させる「恋愛軍師」 小野 恋歌(おの れんか)
友達1000人、コミュ力の鬼、話した奴らは大体友達 大伴 響(おおとも ひびき)
機械に強い、完全ネト充、ホットな情報の観察者 在原 美月(ありはら みつき)
個性豊かな「学校生活サポート部」は今日も依頼で大忙し!
プロローグ
―――ここは
サポート部、通称学サポ部
恋愛、部活、学業、進路、etc……なにかと悩みが多い高校生達の悩みを俺たちができる限り解決する……そんな部活だ。
「タケルくーん。ちょっといい? 今、手が離せなくてさ、この依頼なんだけど」
「ん、なになに…?『倉庫の備品を整理してくれないか?校長より』ね、校長先生からの依頼か。ちょっと行ってくるわ」
「ありがと! じゃあそっちは任せるわね!」
……と、まぁ最近の依頼は生徒以外にも、先生や用務員さんからもくるようになったのだが、
おい、そこ。絶対に雑用部とか呼ぶんじゃないぞ?
これでも『人助けをするのが大好きな4人が集まっている』ってことで通してるからな。印象も良い感じになるし。
そんなざつよu……もとい、人助けが大好きな学サポ部のメンバーは4人、それぞれ特技があって非常に個性的だ。
さっき俺に依頼を持ってきたのは、この学サポ部の部長でもある『小野 恋歌(おの れんか)』、俺と同じ中学【1】年生だ。
容姿端麗、成績優秀、天真爛漫、さらさらのロングヘアー、そして恋歌お気に入りの扇子がなにより似合う美人だ。
そんなこんなで恋歌は男女問わず人気がある……ここまでは普通の学校に、1人はいるであろう普通の優等生と変わりない。こんな優等生、いるだろ?
しかし、彼女の特筆すべき点は―――
『彼女に恋愛相談をすればその恋愛は絶対に良い方向に持っていける』
ってことだ。凄いだろ、ちょっと頼ってみたくならないか?
……まっ、俺は恋愛に興味が無いからあんまり関係ないんだけどな。
そんな彼女の人気は一年生の間だけでは収まらず、先輩や先生にまで浸透しており、学校では『恋愛軍師』っていうあだ名までつけられている。
かく言う本人も、
「語呂がいいわね!天才と恋愛を掛けているのかしら?気に入ったわ!」
……とか言ってたな。学サポ部の軍師様はご満悦そうだ。
あっ、そう言えば、俺がこの部活に入部したのも……恋歌が理由だったな。
恋歌や他の2人と比べると何の取り柄もないような俺だけど、どうしてか彼女は俺を部活に誘ってきたんだっけ……? 最初は断ったんだけどな。
ん? そういえば何で俺は学サポ部に入部するのを決めたんだっけ?
……まあ、倉庫の備品の整理でもしてれば、そのうち思い出すだろ
俺は、山のように積み上げられた段ボール箱に向き直った。
「さて、やるか!!」
―――何の取り柄も無い俺―――宮本 タケルが学校生活サポート部に入部した理由、それは……
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
第1話 学校生活サポート部
春の教室にチョークが黒板を叩く音が響く。教師以外に喋る人がいない教室は学校生活で1、2を争うレベルで静かな時間だ。
「えー……こうして諸葛孔明の策もあり、孫権は赤壁の戦いにおいて曹操を打ち滅ぼした……という訳だ。何か質もん……おい、宮本……宮本ー?聞いてるか?」
静寂を破って革靴が床を叩く音が近づいてくる。だが、この暖かい気節だ。中高生にとって一番の敵である睡魔は容赦なく襲ってくるから仕方ないよな? って事でもう一眠り……
「なーにまた寝ようとしてるんだ?確かに歴史の授業は退屈かもしれんが、過去の偉人の功績を記憶に刻み込むのは結構重要な事だぞー!」
大声と共に振り下ろされた教科書の暴力が頭部に襲いかかり悶絶する。
「いってぇ!! って、まじかよ先生! 教科書の角は反則だろ!?」
教室では薮をつつかれて出てきた蛇のように、笑いが起こるも先生は呆れ返っていた。
「はぁ、反則も糞もあるか……今月何回目だ? 宮本、授業終わったら反省文な」
高校に上がって覚える量も増えた歴史の教科書の重みは角攻撃と覚える量込みで、痛恨の一撃と言わざるを得ない。
くっそ、あの先生……今後の生活に支障がでたら訴えてやる……
そうしている間に授業の終わりを示すチャイムが学校全体にキーンコーンカーンコーンと響き渡った。
「ん?もうこんな時間か、それでは宮本は後で俺の元にくるように。それではこれで終わりたいと思います、起立、礼っ」
「ありがとうございましたー」
「あっしたー」
先生が教室を出ると静寂は瞬く間に消え、生徒同士の雑談や世間話でいっきに騒がしくなる。やれやれ、ありがとうございましたーって言っておいて、本当に先生に感謝してる奴がどれくらいいるんだか……っているわけないよな。
「おっす、おっす!タケル、目覚めはどうだ?」
そして、ここにもうるさいのが一人、津田 柘榴(つだ ざくろ)だ。柘榴の「ザ」と「ク」をとって皆からは「ザック」って呼ばれてる。
入学したてのころに席が隣どうしだった、という理由だけで仲良くなった。
こいつは誰とでも仲良くなれる性格なんだろう。
……入学以来、友達の1人も作ろうとしない俺とは大違いだな。
「うっせー……お前も寝てたろ?見えてたぜ」
「俺はバレないように寝てるからなっ! それより織田先生のところに行かなくていいのか?」
……そんな寝かたがあるなら是非教えてほしいものだ。今度、教えてもらうか。
「今から行くところだよ……一緒にくるか? 自白して一緒に怒られようぜ?」
「ははっ遠慮しとくわ!俺は今から部活だしな」
「そうだったな、バスケ、頑張れよ?」
「おう!絶対にレギュラー入りしてやるぜ!じゃあな!」
そう行って鞄を担ぎ上げたザックは手を振ってさっさと行ってしまった。
あいつはバスケ部期待の1年として顧問や先輩からも注目を浴びている。……もちろん女子からも。背が高くスラッとしていて、髪も親しみやすい感じの短髪。おまけに誰とでもすぐに打ち解けちまう。ああ言うやつには友達が多くいるんだろうが……
「ま、俺には関係ないか……」
気持ちはどんよりしたまま、放課後の教室の騒がしさを振り切るようにして立ち上がり織田先生のところに向かうことにした。
〜〜〜〜
「ったく…入学してからお前は何回授業中に居眠りすれば気がすむんだ?まだ高校一年の一学期なのに……先が思いやられるな…」
「…すんませんっ」
「なーにが『すんませんっ』だ。まったく…お前は自分の将来の事は考えてないのか?」
適当な謝罪を容易く一蹴して先生は問いかけてきた。
夢か…物心ついてから真面目に考えたことは無かったな。一番古いので幼稚園の頃の[ヒーローになりたい]くらいだな。……今言ったらなんと思われるだろうか。
「うーん………無いです」
10秒ほど考えてからキッパリと断言した。これには先生もかける言葉が無いようで頭を抱えていた。
「…お前はまず将来の目標を考えろ。そうしたら勉強のモチベーションも上がるかもしれないぞ?とりあえずほら、反省文。明日の朝一番でびっしり埋めて提出するように」
未来の目標を考えろと言われながら過去の過ちの反省文を書かされるとはこれやいかに。
目の前に突き出された原稿用紙3枚が重く俺の手にのしかかる。だいたい反省文なんて、人生16年の中で書いた事なんて一度もないのだが……
「……夢はそのうち考えときます。失礼しました」
「気をつけて帰れよ。……それと宮本、提出が遅れたら、歴史の点数は赤点つけるからな」
「は、はい……」
一学期の初っ端から赤点宣言かよ……この高校鬼畜か?
……それにしても反省文か。誰か代わりに書いてくれる人……いや、例文みたいなのをコピペさせてくれるだけでもいいんだけどな〜
「そんな都合のいいこと……あるわけ無いよな」
1人、夕焼けが差し込む廊下で呟きながら、帰る支度をしようと教室に向かっていると、一枚の張り紙が目に止まった。
赤色や黄色といった明るい配色で人目を引きつけるその張り紙にはこう書かれていた。
【学校生活サポート部、お悩みなんでも解決します!友情、部活、恋の悩み、部活の助っ人も斡旋します!】
へぇ……この学校にはこんな部活もあったんだな。ん、待てよ?
(この学校生活サポート部に頼めば反省文くらいすぐ書いてくれるだろ!だって「なんでも解決」って書いてあるからな)
とんだ悪知恵が働いたものだ。頭は悪いが、こういうバカなことを思いつくのは昔から得意だ。
……おい、なに変な目で見てるんだ、やめてくれ。
「部室は、校舎3階の図書室の横だな、よし!」
真っ白な原稿用紙を携えた真っ黒な心のズル賢い俺はまだ知らなかった。
この行動がもたらすものを―――俺の新しい青春を。
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はい、6作品目は大口 因幡さんの『恋愛軍師恋歌さんっ!』でした!
まだ序盤しか読んでないですけど、面白い作品でした。自分なりの文章に書き直している時も楽しかったです。
良ければ皆さんも読んでみてはいかがでしょうか!
↓↓↓恋愛軍師恋歌さんっ!↓↓↓
https://kakuyomu.jp/works/1177354054884765812
そして、7作品目はデトロイトのボブさんの作品目です。楽しみにしていてくださいね!
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