<若干ネタバレあります。ご容赦ください>オチが読者の想像の枠を超えて素晴らしいかどうかは、文中でいかに読者の意識を逸らすことに成功しているかに依存すると思います。その点、この作品は「透明なもの」の持つ魅力について、精緻な文章で表現することにより主人公の心情が晴れやかになっていく様を見事に描いています。文中に描かれる老人の考えこそが物語の枢軸なのだと思わせる筆力。すでに術中にはまっていることをほとんどの読者は気づけないでしょう。お見事です。
文章の言葉選びも的確で、読んでいて心地よさを感じました。そよ風のような表現で、スラスラと読んでしまいました。オチで主人公の境遇と老人の発言が繋がり、鳥肌が立ちました。これからも頑張ってください!
全体的にタイトル通りの透き通った作品だという印象を受けました。気になる文章はいくつかあれど、あまり気にならない程、全体としての完成度が高いなと感じました。特殊な設定でありながら、見事に現実世界と調和している所も素晴らしいです。
この作品に見え隠れする、作者の「さりげない上手さ」や、爽やかな透明感にとても好感を持った。特異な設定を持ち込みつつも違和感なくすっきりと読むことができ、また作中の会話も魅力的だった。オチが途中で分かってしまったのが少し残念だったが、それ抜きにしてもとても良い小説だと思う。
描写も丁寧で美しく、最後の一文に驚かされる、文学性とエンターテイメント性を兼ね備えた作品。