第11話

"花子はできるだけ、多くの子を山に避難させてくれ"

花子は少し浮かない顔で、小学校の将校口の靴箱の影に立っていた。

「爆弾テロ…?」

「そう、俺が市役所に電話して爆弾を仕掛けたって嘘を言うから、花子は校内で待機して

避難放送が流れたら子供たちを誘導をして」

花子は賛成することも、反対することも出来なかった。

花子も、その作戦が一番人を動かせると思ってしまったからだ。

「俺がちゃんと皆を避難させる事ができるように言うから」

そう言って走り去った勇太の顔が、頭から離れない。

外を見ると、雨は強くなってきていた。

地面に落ちる水滴の音と共に、チャイムの音が鳴り響いた。

その時だった。

「緊急避難指示が報告されました。教員は生徒を連れて至急、山に避難してください」

花子は途端に走り出し、教室を出てきた生徒に混じると、不安そうな表情をする子供たちの手を引いて言った。

「大丈夫だよ」

子供たちは花子を見て、「だれ?」と言うが、花子は答えぬまま避難を急いだ。

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