第10話
すると突然、勇太は強く押されて尻餅をついた。
いきなりのことに勇太は驚いて、目を見開く。
「根性無し!!」
目の前に仁王立ちする花子が叫んだ。
「確かに完全な根拠もないことで行動するのは怖いだろうし、それを信じるのもできないかもしれないけど!
だけど他人の命を救おうとして行動することに恥じることなんて何も無い!
本当に恥じるべきは今の勇太みたいに自分の事を追い詰めて何もしないことだよ!
失敗したっていいから、人を救うことから逃げちゃいけない!」
勇太は唖然と花子を見つめた。
「私だって、何度も何度も失敗してきた…
たくさん走ったし、たくさん叫んだし、たくさん泣いた
けど、もう時間が無いの
私一人じゃ、誰も救えない…救えなかった」
花子は自分の拳を強く握りしめた。
「私はもう…誰も死んで欲しくないの…」
肩を震わせて、花子は両手を顔に覆った。
勇太はそれを見て、自分が何に恐れていたのか、わからなくなった。勇太の肩の震えは既に治まっていた。
奥歯を力強く噛み締めると、勇太は立ち上がった。
「もう1回だけ、チャンスをくれないか」
花子は顔を覆っていた手を離し、勇太のその目を見ると力強く頷いた。
「ちょっと、いい作戦思いついた」
勇太の目は、これまでに無いほど真剣だった。
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