第7話

校門の前でやっと花子の隣に立った勇太は、膝から崩れ落ちた。

「はぁっ…はぁ、足…早すぎる…」

花子は申し訳なさそうに「ごめんなさい」と謝ると、ポケットにあったハンカチを取り出して勇太の汗を拭いた。

「ありがと」

そう言った勇太に、花子は笑いかけた。

「このハンカチ、あげる。また使うと思うから」

勇太はジト目になって花子を見る。

「また早く走るつもりかよ」

そう言うと花子は首を横にブンブン振った。

「違うよ!ちゃんと次から遅く走るって!」

「小さい女の子にそう言われるのは悲しすぎるかも」

「大丈夫だよ!多分これから足早くなれるから!」

勇太は苦笑い気味に「たぶんね」と、言うと浅くため息を吐いた。

するとそこに、女児が駆け付けてきた。

手には雑草らしき葉っぱを握りしめている。

「ねぇー!」

その子は、二人の前で止まると、手に持っている草を花子に押し付けるように渡した。

「学校の外には出ちゃダメなんだよ!あっちで私とうさぎさんにこれあげよう?」

二人はこの状況に焦りながら、どうしようかと必死に考える。

「そ、そうだね!だけどこの人、校長先生に用事があるみたいだから、私たちで校長先生のところに案内してあげようよ!」

花子がそう言うと、女の子は「そうなの?」と首を傾げて勇太を見上げた。

「そ、そうなんだー…校長先生のいる所がどこか分からないからこの子に聞いてて、

よければ案内してくれると助かるんだけどなぁ〜」

そう言えば、女の子は「わかった!案内してあげる!」と言って勇太の手を引っ張り、校内へ向かう。

花子も、貰った葉っぱを大事に持ちながら二人の後を追いかけた。

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