魔女の迷宮 B12
『フローティングコントロール』
マキの魔法によって、落下する瓦礫は宙に浮く足場に変わり、私達は無事に足下の空間に降り立った。
そこはさっきまで居た広間の半分程度の大きさの広間で、その中心に奴が居た。さっき巨大ゴーストに変わる前の姿の魔女と、その頭上に浮かぶ魔女の宝玉。
こんな強引な方法で侵入されるとは思っていなかったのか、魔女の本体は混乱している様子がわかる。今がチャンスだ!
マキは宙に浮いた瓦礫をそのまま操作し、魔女に向かって撃ち出す。
これは流石に受けるわけにはいかないのか、地面を滑るように移動して大きく回避する魔女。そしてその眼前に私が現れる!
飛来する瓦礫の影に隠れて肉薄した私の一撃を、魔女はいつの間にか手にしていた棒で受け止め、押し返す。その力で私と魔女はお互い大きく後退し、距離が開く。宝玉は魔女の頭上にピッタリ付いて動き、離れる様子はない。
続いて、魔女が口を開く。
「どうして?どうしてわたしをいじめるの?どうしてどうしてどどどどどどどどどどどどどどどどどどど」
「ぐうっ!?」
頭に割れるような痛みが走る。これは魔言による精神攻撃か!
『恐れるな!勇気は汝の心に!勇猛は汝の姿にあり!』
後方からクラリスの『
体制を立て直した私達だったが、その隙に魔女は攻撃の準備を終えていた。
あれはさっき私達を追い詰めた魔力の
「マキ!!」「はい!!」
一瞬の躊躇も許されない、剣を真っ直ぐに構えてマキに呼びかけ、マキも私に応える。
構えた剣がマキの魔法で強く輝く!
「受け止められないんだったら――」
魔女から放たれた魔力の奔流が振り下ろした剣にぶつかり、そこから左右2つの流れに断ち割られていく。
体のすぐ横を過ぎ去っていく魔力がチリチリと肌を焼く。
「――斬り、拓く!!」
そのまま全力を込めて振り切ると、剣の軌跡は光の刃と化して魔力の奔流を切り裂き遡り、魔女の体を斬りつけた!ガキィン!と金属同士が強くぶつかり合うような音がする。
そして文字通り斬り拓かれた道を駆け、私の剣が、マキの杖が、低い位置から魔女の顔面を掠めて振り上げられ、遂に宝玉を捉えた!!!
一瞬、時が止まったかのような錯覚に陥る。
最後の攻撃を命中させた状態のまま、二つに断ち切られた魔力の奔流はフワリと霧散する。次の瞬間、宝玉と、そして魔女の全身に巨大なヒビが入り、とても大きな音を立てて、砕け散る。
砕け散った魔女と宝玉は、地面に落ちてカシャンと更に細かく割れた後、破片すら残さず消え去っていった――
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