※※※

　現場を抜け出したときには、夕暮れがせまっていた。

　カラスの帰る森は、すぐ裏手にある神社に守られている。赤い空に黒い影が、いくつも集りつつあった。

「いつもどおり、見事な推理でした」

　路地で待っていた先生の姿を見つけ、国分寺は足早に駆け寄った。

　先生は余り気乗りのしない返事をした。

「いや……じつは、すこし嘘を混ぜた」

「えっ？　どういうことですか」

「古賀明を殺したのは、大木美沙子だよ」

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