第2話

 そうそう。

こんなことがありました。


笑美の夫は、子供と二人でドライブに行きました。

朝早く家を出て、笑美は二人が居ない間に家事をやるため留守番していたのですが、しばらくして夫から電話がありました。


「スピードで捕まった!」


あらま・・・高給取りでもないくせに公務員に税金以外の募金をすることになるとは・・・と笑美は呆れてましたが、笑美を呆れさせたのはこれだけではなかった。夫が電話を続けます。


「こんな朝っぱらからやると思わなかった」

「下り坂でやるなんて卑怯だ」

「みんな引っかかってた」


笑美の心の声、『で?』ですよ。


朝っぱらやるのが悪いの?

下り坂でやるのが悪いの?

みんな引っかかってるから自分が引っかかってもいいの?


呆れて言葉が見つからなくなった笑美だったけれど、なんとかない知恵を絞って、

「警察に募金する余裕なんて我が家にはないから自分で何とかしてね」

と伝えると、

「俺、持ってないよ!」

との返事。


『稼いでる〈俺〉がなくて家にはあるの?』ってのが笑美の心の声。


それでもその場に子供がいることを考えると、その後運転が荒くなっては困ると思い、

「来月から少しずつ小遣いから引かせてもらうよ。ホントにそんな余裕ないから。とりあえず食費から出すから今月、あまりいいものを作れなくなるけどごめんね」

となるべく優しい声で(でも態度は呆れてる。見えてないことをいいことに)。

そう伝えると夫も納得した。


 他のご家庭がこんな時どうするか分からないけど、笑美の家はこの時、家計はすべて笑美が管理していたためこんな対応になりました。後日友人に話すと、数人の友人からはある共通の答えが返ってきて笑美の家が特殊(?)だと気付かされました。その共通の答えと言うのが、

「小遣いから出させるに決まってる。なんで、家計から出さなくちゃいけないの?笑美は甘いよ」

でした。


甘いのか?


でも結果的には数ヶ月かけて小遣いから返済なんだけど?そんなに多く小遣い設定してないから無茶言ってもまた機嫌悪くなるだろうしね。何より、夫一人でどこかに行き、一人で捕まってたわけじゃないから笑美は子供を第一に考えただけなんだけどね。


 こんな些細なことでも夫婦喧嘩に発展する場合はあると思いますが、ここでも【みかた】を変えて、結果、罰金も夫から回収する方法を取るのが賢明かなと。



 こんなこともありました。


これは、一歩間違えたら離婚に発展しかねないことかも。


 夫は携帯電話音痴。操作方法や設定方法がいまいち理解できない人。

そんな人なのに、なぜかいつも最新機種を家族の中で一番先に欲しがる人。


笑美の家では、いつも笑美と子供が先に購入し、操作方法を覚えた後、夫が購入するというパターン。


 ある日、いつものように1ヶ月遅れで夫が最新機種を手に入れた。

そして、いつものように設定に手間取っている。普段、携帯電話は笑美には触らせない夫だが、この時ばかりは聞かないと分からない。と言うことで、笑美が夫の携帯電話を設定していた時のこと。


設定中に入って来るメールが設定画面の上の方に出る。

ご丁寧に相手と本文の途中まで。


相手は、女性の名前。

本文は、逢った日のことへのお礼。

そして、笑美の知らない名前。

夫が休日出勤した日をさしたお礼。


笑美は、設定を終えるとすぐに夫に携帯電話を返した。もちろん、メールが受信されたことも何も言わずに。


少し考えれば設定中に受信したことくらい夫にも分かるだろうし、笑美の性格上「この女、誰よっ!」と問いただすこともしない。別に自分の小遣いの範囲なら問題はない。


これが、たとえば給料が入金されなくなったとか、小遣いが足りないから追加でほしいとか言われたら話は別。その時にはきちんと説明していただくしかないんだけどね。


ここでも笑美は【みかた】を変えた。


笑美本人は夫の相手をするより子供の相手をしている方が楽しい。だったら、この誰かさんが夫の相手をしてくれてることに感謝しなくちゃね、と。


本来妻の役割のことを誰かさんがやってくれるならラッキーくらいに考えてた。とにかく、笑美の家庭での役割は、夫の給料だけで生活すること。この役割に支障をきたさなければ特に問題にはしない。

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