第24話 迫る危機?

「で、どうだった?」

 小さな寄り合いが終わった夜、僕らはまた厨房に集まってた。

 ――ほんとにここ、秘密会議にうってつけだな。

 女性陣しか立ち入らないから、男性陣に気づかれないったらありゃしない。父さんが「井戸端会議には気をつけろ」って言ってたけど、本当にそうだと思う。

 話を振られたお嬢さんが、溜息をついた。

「もうね、ほんとヤだ。村のオヤジども、ともかく触ろうとするんだもの」

 ガマンしたけどさーとむくれるお嬢さんを、おかみさんがなだめる。

「あいつらバカだからねぇ。まぁありがとね。で、どうだったんだい?」

「みんなどうかしちゃってる。父さんまでおかしいの」

 ここでもう一度溜息をついて、彼女は続けた。

「次の大きい寄り合いで例の魔導師の仲間が来るから、話を聞く代わりにまた麦を頼めばいいって。今年は安泰だって」

「はぁ?」

 おかみさんが素っ頓狂な声を上げる。

「そんな、麦をタダでくれるなんて上手い話、そうそうあるわきゃないだろに」

「あたしもそう思うんだけど」

 お嬢さんが肩をすくめた。

「なんかね、頼み聞けばいいだけだし、って。で、あたしびっくりして、何の頼みか訊いてみたのよ」

 お嬢さんが料理持ってってくれて、ホントよかった。そうじゃなかったらこの村、そう遠くないうちに大変なことになってたと思う。

「で、なんて言ってたんだい?」

「あと少ししたら人がいっぱい通るけど、そのときにちょっと手伝えばいいだけだから、って言うの」

「それ、侵攻の片棒担ぎじゃ……」

 隣の騎士も頷いた。

「山越えしてくるんでしょうね」

「この時期に? けっこう無謀だと思うけどねぇ」

「そうなんですか?」

 驚いて聞いてみると、山のこの時期は、案外雨が多くて天気が変わりやすいんだっていう。

「急に寒くなったり、霧が濃かったりいろいろあってね。峠越えるのは、案内いないと危ないと思うんだよねぇ」

 そういえば今日も、霧だって理由で山歩きやめたわけで。これだけで案内があっても歩けないなら、行軍はけっこう危険だろう。

 日程なんかも、天候次第でかなりズレそうだ。

「その案内を、村から出すって話なのかな?」

「どうだろうねぇ」

 けどさすがにそこまでは、ここで考えてても分からなかった。

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