第14話 白馬の救世主?

「……というわけですの。みなさま、どう思われます?」

 新作お菓子をお供にしてのお茶会は、つつがなく進んでた。

「ミセス・ミュルダール、よろしいですか?」

 縦長おばさんが口を開いた。

「その生地でございましたら、首都よりケルベクの町のほうが、安く良いものが手に入ります。あちらが産地ですので。そのあたりはおそらく、貴家の女中頭が心得ていると思われますので、いちど意見を訊いてみることをお勧めします」

「まぁ、知りませんでしたわ。ありがとう」

 黒髪の貴婦人が優雅に頷く。

「うちのミセス・ストールと相談してみるわね。それから、仕入先のことを主人に言ってみるわ」

「それがよろしいかと。それから、ミセス・エーベルゴート」

 縦長おばさんが、別のご婦人に向きなおる。

「何かしら、ミセス・メルバリ」

「そういう開墾の仕事でしたら、北の荒れ地出身の者が向いております。彼らは石ころだらけの土地に慣れておりますから。お屋敷の下女には、その方面の出身者がきっといるはずですから、彼女らの親類か同じ村の者を探すとよろしいかと」

 なるほど、とミセス・エーベルゴートが軽くうなずいた。

「たしかに育った土地が違えば、慣れていることも違いますものね。わたくし、そこまで気が回りませんでしたわ」

 ご婦人がたもうなずきながら、「そうですわね」「大事なことですわ」等々、互いに言葉を交わす。

(姫さまとご婦人がたが集まっての、お茶会じゃなかったのか?)

 女性陣からはほんの少し離れた場所、僕の隣に座らされて、居心地悪そうにしていた例の騎士が、小声で訊ねてきた。

(これは本当にお茶会なのか?)

 なぜかイサさん、この容姿端麗騎士を借りると言った後、このお茶会に連れてきたのだ。困る、とても困る。姫様がコイツを見て、気に入ったりしたら困るじゃないか。

 でもコイツは僕の苦悩なんかまったく知らないで、ひそひそと続けた。

(お茶会というより、戦略会議だぞ、これは)

(たしかお茶会のはずなんですけど……)

 というか、縦長おばさん怖い。この人のせいで、今までも十分怖かったお茶会が、もっと怖くなってる。

 ミュルダール夫人が、満足気にうなずいた。

「本当にミセス・メルバリは物知りね。素晴らしいわ」

「そんなことはございません」

 縦長おばさんが即座に否定する。

「女中頭でしたら、たいていはこういうことを知っております」

「まぁ……」

 ご婦人がたが顔を見合わせた。

「私たち、今までずいぶんな損をしておりましたのね」

「本当ですわ。これなら家で女中頭に尋ねるだけで、半分くらいのことは分かりそうですものね」

 縦長おばさんが首を振る。

「私どもが存じているのは家の中と、それに関係することだけでございます。麦の作柄は分かりません」

「それもそうですわね」

 ご婦人がたが優雅に笑った。

 ひとしきり笑った後、姫さまが口を開いた。

「私はやはり、お父様のことが心配ですわ」

 そりゃそうだ。心優しい姫さまにとって、これ以上の心労はないだろう。

「姫さま、何かありましたの?」

「実は――」

 姫さまが話しだした。

「私もみなさまがやってらっしゃるようなことを、このところやっているのですけれども。何というかお父様は……すぐに意見を変えられてしまって」

 なんでも、そのときは膝を打って納得するのに、数日すると元に戻ってしまうんだっていう。とんでもない父親だ。というか領主、あんなに娘を可愛がってる――領主の姫さまへの溺愛はよく知られてる――のに、なんで娘の助言を無にするんだ。

 姫さまがため息をついた。

「先日も、橋のどちらを先に直すか、という話を、みなさまにしましたでしょう?」

 もちろん僕も覚えてる。畑の中の橋と神殿近くの橋を、どっちを先に直すかって話だった。で、みんなで持ち帰っていろいろ考えて、麦や何かを運ぶのにしょっちゅう使ううえ、刈り入れの時期が迫ってるから、畑の中の橋を先にしたほうがいい、ってことになった。

「それでお父様にお話ししましたら、その時は『たしかに畑の橋が先だ』と、納得くださいましたのに。数日経ったら、『そんなことは言っていない』と」

「まぁ……」

 領主様ヒドすぎる。単に前言撤回するだけならまだともかく、『言ってない』ってどういうことかと。

 と、プラチナブロンドに薄い青の瞳のご婦人が、姫さまと同じようなため息をついた。

「うちの主人も、同じようなことをしますわ。なぜかしばらく経つと、意見が元に戻ってしまいますの。それで訊くと、逃げると言うか話をしないというか……」

 たしかに「自分が不利と思ったら女の人とその件は話すな」って、父さんも言ってたけど。けどそれにしたってあからさまだ。そんなことするくらいなら、最初から考えを変えなきゃいいのに。

「ねぇ魔導師さん、男の方って、そういうものなのですか?」

「え?」

 いきなり話が振られて、思いっきりうろたえる。落ち着け自分。姫さまの前でカッコ悪いところを見せたら、嫌われてしまう。

「そうですね……」

 少し間をおいて――その間に急いで考えた――から、僕は答えた。

「人に、よるとは思うんです。最初から、すぐコロコロ変える人もいますし。ただ領主様なんかの件だと、何で考えを変えたのかが、僕は気になります」

 気まぐれとか、伝統とか、そういうことに既に決めたから今更、とかいうならまだ分かる。でもあの橋の件はまだ何も決まってなくて、これから両方やるけどどちらを先にするか、って話だった。そして麦の刈り入れがある以上、畑が先は理にかなってる。なのに翻すんだから、何か理由があるはずだ。

「そういえば」

 考え込んでしまった僕に代わって、ご婦人の一人が口を開いた。

「そこの魔導師さん、妙な噂が出てましてよ」

「噂、ですか?」

 心当たりがない。というか、何を言われてるか分からない。もしかしたら僕が魔導師見習いだってこと自体が、噂になる可能性はあるけど……それを「妙」とは言わないだろう。事実なんだから。

「どんな噂なんです?」

 さすがに気になって訊くと、相手が言い澱んだ。あんまりいい噂じゃないらしい。

 ――神様、ヒドすぎます。

 誓って僕は何もしてない。毎日毎夜師匠やおばさんに振り回されてるけど、それ以外は何もしてない。というか僕は被害者だ。なのになんで噂なんて出るんだろう。

 イサさんが言う。

「噂ってもしかして、ここにいるボクが姫さまを誘惑したとか、そういうの?」

「あら、なんでご存じですの?」

「うん、その件でここへ来る前に、ひと悶着あったもんだから」

 あらあら、とご婦人がたが笑った。

「で、そこの魔導師さん、実際はどうなの?」

「あら、やってないと思いますわ」

「そういうことができる性格には、見えませんものね」

 ここが、貴婦人とは言え「おばさん」年代の巣窟なのを、今になって僕は思い出した。

 ご婦人がたの一人が、姫さまに訊く。

「姫さま、真相はいかがですの?」

「言いだした方に、一言文句が言いたいですわね、さすがに」

 姫さまがおかんむりだ。そして僕は微妙な気持ちだ。そういう噂を喜んでほしいとまでは言わないけど、せめて恥ずかしがってほしかった。怒ってるんじゃ、僕なんてまったく眼中になかったって、大声で触れ歩って告白してるも同然だ。

 貴族のおばさまたち(おばさん、とは呼ばないだろう)は、楽しそうに笑ってた。

「まぁまぁ姫さま、抑えてくださいまし」

「そうですわ。ここで怒っても仕方ありませんことよ」

「そうなのですけど……」

 口ではそう言ってるけど姫さま、だいぶカンに触ったみたいだ。そして僕の心も折れそうだ。

「ところでね、ちょっと聞きたいんだけど。それ、どっから出た噂?」

 イサさんが訊いた。珍しく尻馬に乗ってない。いったいイサさんどうしたんだ。おばさんが僕を茶化さないだなんて、明日は槍でも降るんだろうか?

 最初のご婦人が答えた。

「主人からですわ」

「ご主人から?」

 イサさんが考え込む。

「どうかなさいましたの?」

「うん、なんかあたし、引っかかったみたい」

 相変わらず言動が意味不明だ。でも指摘しても言い負けるだけだから、賢明な僕は黙ってることにする。

「何かなぁ、何でかなぁ……あたし何に引っかかったかな」

 ぶつぶつ言いながら考え込んでたイサさんが、ぱっと顔を上げた。

「ご主人、だからか」

 イサさん、意味不明に拍車がかかってる。こんな短時間で意味不明がここまで来るんじゃ、明日辺りには会話が成り立たないくらい、意味不明なことを喋ってそうだ。

「それがどうかしまして?」

 僕と同じように意味が分からなかったご婦人が、説明を求める。

 イサさんがにっこり笑ってみんなに訊いた。

「みんな噂ってふつう、誰から聞くかしら?」

 ご婦人方が顔を見合わせる。

「侍女、ですかしらね……」

「あとは友人からですわ。女同士集まれば、やはりそういう話にはなりますもの」

「そこなのよ」

 イサさんはそう言うけど、まだ何のことか分からない。僕だけかと思ったけど、姫さまも不思議そうな顔をしてるから、やっぱりわかんないんだろう。

 これだからおばさんは、と思う。聡明な姫さまにさえ分からない説明じゃ、世界の誰にも分かるわけがない。なのに自分の説明が分かってもらえないと怒り出したりするんだから、ホントに手に負えない。ただ幸い、今回はイサさんは怒り出さなかった。

「噂ってたいてい、女同士でするものでしょ? なのに誰も知らなくて、旦那さんから聞いた。ヘンじゃない?」

「あ……!」

 言われてみればそうだ。井戸端会議はじめ噂話のあるところは、女性が占拠してることがほとんどだ。例外は酒場だろうけど、そこの噂だって店の女の人を通して、おばさんたちの間にあっという間に広まる。つまり、おばさんが知らない噂なんて、ほとんど存在しないってことだ。

 でも、ここにある。

「ここの誰も知らないってことは、噂好きの侍女も知らない、って考えていいわよね」

「そうですわね。そうでなければ、さすがに誰か聞いているはずですわ」

 ご婦人がたがうなずいた。

「一方で旦那さんが知ってたってことは、男の人の間には広まってる可能性があるわよね」

「そうなりますわ」

「でも、あたしはそれ、ないと思うの」

 みんながきょとんとする。

「今、広まってる可能性があると、ご自分でおっしゃっていませんでしたか?」

「言ったわ。でも本当に噂として広まってるなら、侍女たちが知らないなんてこと、あるかしら?」

 たしかにそうだ。噂好きの侍女たちは、屋敷のどこにでもいる。いない場所を探すほうが難しいくらいだ。そんな彼女たちが、広まっている噂を聞き逃すわけがない。

 でも、それがないとしたら、いったい……。

 イサさんがこっちを向いた。

「そこの騎士のボク、さっきのスパイの話、どこから聞いたの?」

「ぼ……!」

 騎士の顔が赤くなって何か言いかけたけど、そこで口をつぐんだ。縦長おばさんとイサさん、それに厨房おばさんが睨んてで、夕食の肉が人質だってことを、思い出したんだろう。

 軽く深呼吸して、彼が答える。

「少し前ですが、内政の動きがおかしいと団長から言われて探っていたところ、王都からの使いと称して姫さまに近づこうとする、怪しい輩が現れまして」

 それを泳がせてたら、他国の人間と接触してるのを見つけたとか。

「で、丁重に城から退去いただきました」

 言葉は当たり障りないけど、横顔に浮かんだ笑みからするとそのスパイ、下手すると「この世から」退去したんじゃないだろうか。

 彼の話は続いてた。

「それで一刻は静かになったのですが、このところまた、虫が動き出したようで」

 そんなとこへ僕が城に来たもんだから、またか、ってことになったらしい。

 イサさんが訊く。

「じゃぁあなたたちは、噂を聞いたからってわけじゃないのね?」

「間者を見つけるのも我らの仕事。そんな噂だけでは、我々は……いやその……」

 言葉が尻つぼみになったのは、イサさんから「嘘ばっかり」って目で見られたからだろう。実際さっき、噂で動いてたし。

 イサさんが肩をすくめて笑った。

「まぁいいや。ともかく、これで噂の意図は絞れたし」

「そうなのですか?」

 不思議そうに訊く姫さまに、イサさんが自信たっぷりに頷いた。

「騎士さんたちは別枠、女性陣は知らない、でも旦那さんがたは知ってる。ならこれ、誰かが意図的に、広めてるんじゃないかしら。それなら辻褄合うでしょ?」

「たしかに……」

「広まる」じゃなくて「広める」なら、広める相手を自分で選べるわけで。それなら旦那衆だけに広めることだって、できるはずだ。

 ――やっぱりおばさんだな。

 こんなこと、噂好きのおばさんじゃなきゃ考えつかない。

「でも、仮にそうだとして。誰が、何のためにやってるんでしょう?」

 姫さまが首をかしげながら――すごく可愛らしいです――誰にともなく言った。

「誰がはともかく、何のためかは分かるわよ」

 イサさんの言葉に、ご婦人がたの視線が集まる。

「何のためですの?」

「そこのボクをとっちめるため」

 イサさんの言葉が僕の頭に染みるまで、二呼吸くらいかかった。

「とっちめるって、僕は何もしてませんよ!」

 濡れ衣だ。とばっちりだ。イサさんはおばさんだから何かしたかもしれないけど、僕はぜったいに何もしてない。けど僕の無実の訴えは、あんまり意味がなかった。

「ヘタレのあなたが何もしてないのは分かるけど、少なくとも内容が、キミに不利よね。

ってことは、相手はキミに対して、好意は持ってないんじゃない?」

「まぁ、そうでしょうけど……」

 理屈としては間違ってない。間違ってないけど、人に面と向かって言う言葉じゃない。そんなこと言われたら、いくらおばさんが相手でもショックだ。でもイサさんはおばさんだから、やっぱり気にしてくれない。

「万に一つくらいは、好きすぎてイジワル、って可能性もあるけど。でもその場合、今の状態だとアタックしたほうが早いし」

「ですわね。嫌がらせして裂こうと思うほど、誰かと恋仲というわけでもなさそうですし」

 神様タスケテ。

 ここが「おばさん」世代の巣窟なのはさっき気付いたけど、ご婦人がたも中身はやっぱり「おばさん」だった。僕の幻想が崩れてく。貴婦人って方々だけは、おばさんなんて種族とは違うと思ってたのに。

「意中の相手が誰かと恋仲なら、浮名を流して裂こうと思う方も、いるでしょうけどねぇ」

「でも姫さまとなんて噂、流すだけ無駄じゃありません? 魔導師さんが姫さまと恋仲というわけでもなし」

「だからあたし、誰かに好かれたって路線はない、と思うわけ」

「同感ですわ」

 ――誰かこの、僕の壊れて傷ついた心を癒してください。できれば姫さまがいいです。

 でも、そんな白馬の女性は現れなかった。

「ともかくそういうわけだから、別の理由で嫌がらせしてるか、姫さまあたりに汚名を着せたいか、だと思うのよね。ただ噂を流してるのが男の人だとしたら、姫さまに汚名着せようと思うかなぁ……」

 汚名って何だと。なんで僕がそんなに汚れてるんだと。

 そりゃたしかに、姫さまと釣りあう地位じゃないけど。というか姫さまのことは好きだけど、誓って僕は何もしてない。そして何もしてない事実に気付いて、また悲しくなった。

 おばさんたちの井戸端会議は続いてる。

「男の方でしたら、それはないと思いますわ。万一自分が流したと知られたときに、城詰めの騎士たちを敵に回してしまいますもの」

「彼らを敵に回したら、それこそ命が危ういですものねぇ」

 領主様はあんなだけど、この領地の騎士――つまるところ夕食の肉を人質に取られたアレ――は、じつは勇猛果敢だ。理由はきっと、あんな綺麗でしとやかで慈悲深い姫さまに、忠誠を誓ってるからだと思う。そんな彼らが姫さまを冒涜されたと知ったら、きっと骨のかけらも残さないだろう。

 ――って待て。

 怖いことに僕は気付いた。

「もしかして僕、すごく危なかった……?」

「そーねー」

 他人事みたいにイサさんが言う。

「でもまぁよかったじゃない、騎士さんたちの誤解は解けて。城のお歴々の誤解は残ってそうだけど」

「え……」

 それはまずい。城のお歴々って言ったら、領主様とはいちばん親しい人たちだ。そこに、僕が姫さまを籠絡しようとしたなんて噂が流れてたら、僕は――。

「城から、退去……?」

「そうなるかもしれませんねぇ」

 あっさりとご婦人の一人が肯定した。

「本当かどうかはともかくとして、姫さまを篭絡しようとしたなんて話を聞いたら、ねぇ」

「領主様、姫さまのことは本当に大事にされてますものね」

 口々に言われて、背中を冷たいものが伝う。

「ど、どうしよう……」

「それこそ、汚名を晴らすしか」

「そんな……」

 相手もわからないのに、そんなことができるわけがない。そのとき、縦長おばさんが慎重な面持ちで言った。

「――もしかしたら、わかるかもしれません」

 救世主だ。白馬に乗ったおばさんが、僕を助けに来てくれた!

 縦長おばさんが続ける。

「この城の侍女たちに聞けば、何か分かるかと。それにこの件、どうにも噂の出どころが気になるので、調べておきたく存じます」

「あたしも賛成。さっきの領主が意見翻す件といい、なんかすごく気になるのよね」

 姫さまがうなずいた。

「イサさんとミセス・メルバリの二人が同じ意見なら、調べるべきでしょうね。ミセス・メルバリ、お願いできるかしら?」

「お任せを」

 縦長おばさんが一礼する様は、どんな騎士より頼もしく見える。

 厨房おばさんも横から口を挟んできた。

「なら、厨房周りは任せとくれ。出入りの業者たちなんかに、それとなく聞いてみるさ」

 厨房おばさん、体つきも相まって、頼りがいがあることこの上ない。そんな一連を見ていた、ご婦人の一人が言った。

「私も、うちの女中頭に調べさせてみようかしら。召使いたち、噂話が好きですし」

「でしたら私も。人数が多いほうが、きっといいですもの」

 おばさんたちすみません。今までごめんなさい。これからは神様じゃなくて、おばさんたちに祈りをささげることを検討します。

「あなたたちも当然、協力するわよね?」

 イサさんが生贄騎士に向って言った。口調は疑問形だけど、拒否権はなさそうだ。

 おばさんたちの視線の中、彼が頷いた。

「ぜ、全力で協力させていただきます……」

 ここで協力しなかったら夕食の肉が無くなるから、彼もかなり必死だ。

「働きが悪かったら、分ってるだろうね」

「も、もちろんです」

 厨房おばさんに睨まれていい気味だ。

 その日はそれで、お茶会はお開きになった。

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