第四章:Ticket to ride -3


*13*


 切り離したメモ用紙が、電話番号でいっぱいになった。

住所録と手帳、そしてUSIMカードの抜かれた携帯(型が古いから、以前使っていたものだろう)を調べつくして出てきた"さくら"をすべてリストアップした。

その数実に三十人。かなり交友範囲の広い人だったようで、携帯のメモリー一五○○件がまるまる一杯になっていた。

午後四時すぎになって、ベランダから沈む夕日が望める。この景色だけは、一人で独占したら気持ち良いだろう。

松中さんはソファーの上で居眠りをしていた。手帳を一冊まるごと読破して情報を集めてもらっちゃったから、起こすに起こせない。

まあ、その倍――住所録と携帯は俺が目を通したんだけど。ありがとう。と俺は心の中で感謝する。

「さーて、と。」

俺は彼女を起こさないように慎重に席を立つ。忍び足で歩き、テレビの横にある赤いペンをつかんだ。

同時に携帯を開く。一つ目の番号は記憶していた。

『はい?』

女性の声がする。

「あー…もしもし?」

俺はわざとトーンを落として、イントネーションを変えて話し始めた。


――This Moment;13th flet


「そうですかー…はい、また、掛け直しますね。はい、はい、それでは。」

電話を切る前に、向こうから切られた。

息子のフリをして電話をかけたものの、思ったような成果は上がらなかった。

ほとんどが会社時代の取引先や同窓の友人で、付き合いはそれほど濃くないと口をそろえて言う。

それ程まで言わしめる相手のために三百万を用立てるとは、とても思えなかった。

これで三十件――繋がらなかったものを除いて二十七件――の"さくら"さんのすべてがハズレだった。

俺は赤の斜線に埋め尽くされた紙を眺めながら、椅子によりかかってため息をついた。

やはりまったく面識のない人を探すのは無理だったのか。いや、ここで諦めるわけにはいかない。

そもそも、もとより一人で解決できるとも思っていない。俺は顔を上げて、もう一度携帯を開いた。

『ほい?』

男の応答がある。やや抑えた声であったが、仕事中なのはわかっていた。

十一月の平日の夕方に悠々と電話できる時間を持て余す都民はそうそういないだろう。だが、こちらにも時間はない。俺はためらわず救援を求めた。

頭脳明晰にしてヒューマン・コンサルタント――昔馴染で松中さんの彼氏、柴田広樹に解けない謎はない。

「ああ、悪いね。松中さんに免じてちょっと頼まれて欲しいことがあるんだけど。」

そう切り出して、俺は事の大体の経緯を説明した。彼の第一の返答と言えばこうだ。

『松中に手出したら殺すけど?』

「それは本人の前で言えよ…。」

気配を感じて目線を向ける。どうやら杞憂のようだ。松中さんは小さないびき(広樹の前では絶対聞かせないだろう)をかいて眠っていた。

本題とずれている事に気付いて、俺は慌てて電話を持ち直す。

「そんでさ、結局その"さくら"さんが見つかんないわけなんだけど、どこか心当たりはないかね?」

時間にして四、五秒の沈黙の間、電話の向こうは騒がしかった。

『んー…連絡先は全部取ったわけ?そいつが前使ってた携帯電話とかもみた?』

俺は彼の携帯のメモリを再度確認しながら、広樹の確認に応じる。一度見たからと言って突っぱねるのは三下のすることだ。

壁掛け時計の針はまだ動いていた。等間隔の音を聞いていると、少し焦りだしてくる。

「ない、ですねー。」

『うーん。そうなると難しくなってくるなぁ。』

携帯のメモリにすら入れない相手に三百万の現金を用意する事は考えにくい。俺達の見解は一致していた。

電話越しの声はむしろ楽しそうに聞こえる。俺の声もまた、そうだ。彼は、一つの可能性を口にした。

『そもそも、"さくら"が人じゃない可能性はねーの?』

あの手紙を見直した。何度見ても"さくらに わたして"と書いてある。B5サイズのルーズリーフを三つ折りにしたものだ。

…"さくら"さんは人とは限らない。広樹と喋りながら、携帯のメモリをもう一度調べなおしてみる。

「何とも言えない。確かに考えてみれば、個人に三百万は相当な大金だ。借金か何かだとすれば、どこかのお店という事も――あった!」

無意識に声を上げてしまった。目の前に一つの飲食店らしき番号が映った。――『スナック・チェリーブロッサム』。

"さくら"を意識しすぎた。いつもならオートで英語に脳内変換していてもいいのに。

『不肖の息子に代わって、頼んだぞ、ニセモノの息子さん。俺は仕事中なんだ。』

そう言って電話は切れた。不肖の息子という言葉はよくわからなかったが、とにかくここだ。妙な確信があった。

窓から外を見る。この部屋が独占している夕焼けの風景がどこか悲しく映る。俺は寝室で見つけたとあるモノの存在を思い出していた。

「あんたは、もしかして…。」

頭の中で、久下さんという男の散り際が少しずつ構築されていった。



「ほら、夜になっちゃう。起きてくれ、松中さん。」

俺はソファーの裏から松中さんの肩をゆすった。素早い反応だ。目がぱちっと開く。

「ちょっ!」

慌ててカーキのジャケットをギュッと押さえて起き上がった。いやいや、てめーには何もしねーだろ。

それよりも決着をつけにいかないと。俺はため息をつきながら自分のコートを羽織った。

「『さくら』は人じゃない、七尾のスナックだった。俺はちょっと寄るところがあるから、松中さん頼むよ。」

七尾の滞在先と反対側、海のあるほうにスナック『チェリーブロッサム』はあるらしい。

電話をして席を取ってもらったから、きっと話もつけられるだろう。松中さんに期待する。

「頼むって、あんたはどうすんの!?」

「はは、俺はね――」

予想通りの反応に微笑する。俺は遅れてしまうだろう。偽者として、最後に仕事が残っているから。



 まるで西東京のように、駅前だけが派手に明るかった。

七尾駅を降りてからすぐの細い路地の中で、スナック『チェリーブロッサム』は、開店中の札を下げていた。

夜八時が近い。社員旅行を抜け出してプライベートに行動しているわたしは浮き足立っていた。

悠里(もやしは、"高い子"――最後の方は"腐女子"と呼んでいた)達に頼んで、能登に居る親戚の法事に行っていることにしてもらったのだ。

やはり持つべきものは友人である。通りに人が多くなってきたので、退けられるようにわたしはドアを開けた。

やるべき事が、今はあるのだ。ちょうどいい事に、ぐるりと見回してみても、わたし以外にお客は居なさそうだ。

もやしは、『最後に仕事が残っている。』と言うから、わたしがやらないといけない。

「いらっしゃいませ~、あら、初めてね。」

カウンターの奥から中年の女性――うーん、五十ぐらい?が出てきた。和服を着ている。

"女性の喋り方"をひさしぶりに聞いた気がする。都会では――いや、現代では失われつつあるからね。

「あのー、予約してあると思うんですけど。」

わたしはもやしの名前を告げた。お世辞にも広いとは言えない店だ。席が七つしかないので、当然このママが一人で切り盛りしてるんだろう。

「うんうん、山本さんね~。何かお話があるとかおっしゃってたけど、何かしらね?」

早く済ませたいわけではなかったが、くげさんの事を考えると一刻も早く渡したかった。

何より、これ以上を持っていると誘惑に負けてしまいそうだ。わたしはトートバッグから、新聞紙に包まれた現金と取り出した。

「あの、ママは"くげ"さんという方をご存知ではないですか?」

彼女の表情が凍った。だが、首は縦に動いている。

「は…はい…。」

「亡くなられましたよね?去年。」

「え、えぇ…。人づてに伺って、びっくりしたもの。よくこのお店にもいらっしゃってたのよ。」

わたしのためにお冷を作ってくれてるんだろうけど、三度もこぼしてしまっている。――ショックを引きずってるのかな。

「ここは見ての通り寂れた小さな店だからね。お客様の顔はみーんな覚えてるの。よくお話もしたものよ。その、ちょっと、色々な事情もあって――」

どうにかお冷を作ると、どうぞと目の前のカウンターの上に置いてくれた。

「でも、何でその話で、あなたがここに?娘はいないはずだし…。」

ママは考え込む。わたしは、ためらわずに現金を差し出した。

「こちらにも事情がありまして、亡くなったくげさんから預かっております。恐らく、あなた――いえ、このスナックへの贈り物です。」

「これは…!」

包みを慎重に、丁寧に開封してから、ママは目を丸くした。

今しがた作ってもらったお冷を返してみる。遠慮することもなくそのお冷を飲み干して、彼女は深呼吸をした。

「で…でも、どうしてこんな…!?」

わたしは事情を知らない。でも、もやしの推理は散々に聞かされた。そして、わたしの女の勘…ふふ、何それ。とにかく口を開いた。

「もしかして、ですけど…ママとくげさんって、男女の関係だったり…?」

出来る限りおそるおそる聞いてみたのだが、ハッキリとママはうなずいた。

「二人とも還暦を過ぎて、彼は定年、私は女手一つで育てた娘を手放し…境遇はものすごく似ていて、この売れない店で毎晩のようにお話をしていたわ。初めて来たのは五年前――彼が定年退職した年だったかしらね。」

座りなさいな、とママは私に新しいお冷を作ってくれていた。落ち着きを取り戻しているあたり、流石はスナックの店主だ。

そういえばさっきの管理人さんと違って、ママは金沢弁を使わないんだなー。わたしはご好意に甘えて、正面の席に座った。

「彼は定年退職の少し前に息子さんが家を出て、結婚してからは滅多に連絡もよこさなくなったんですって。」

"本物の"よしひろさんは、随分と親不孝者のようだ。わたしもしばらく、お母さんとお父さんに顔を見せていないけれど。

「それで、話をしていくうちに――ね。」

彼女は笑った。後ろめたさとかはどこかに置いてきたのかもしれない。

「ご自分の新しい人生を見つけられたんですね。」

わたしは思わず微笑んでいた。子供を育てたら、あとは自分の人生だ。好きにやってほしい。

ガチャ、と音がして、大きな挨拶があった。

振り向かなくてもわかっている。腹立つ声は、もやし以外にない。

「渡した?」

「うん。」

そうか、と言って彼も席についた。ママが興味深そうに、たずねる。

「だんなさま?」

『まさか。』

大きな声がシンクロした。わたし、なんかヴォリューム抑えられないんだよね。


 どうにかお金を渡せたみたいでよかった。

あとは、すべてを語ればそれでいいだろう。俺は真っ先に口を開いた。

「ママ、くげさんは何故、そんな大金を用意したんだと思う?――いや、出来たんだと思う?」

「出来た?」

お冷を出しながら、ママが聞き返してくる。

「俺の推測なんだけど、この店、借金あるでしょ。」

田舎の、細い路地の店。とてもじゃないが、採算が合うとは思えない。

グラス越しにうなずくのが見えた。――うん、石川の水は、うまいな。

「彼にも話したことがあったわ。三百万くらい。何度か店に取り立てが来たこともある。だからって用立ててなんて頼んでないのに…。」

相当、経営に切羽詰っていたようだ。俺は推測を続けた。

「それ、借金なんだよ。定年退職して少しの貯金を全て息子に使い、彼にお金なんて無かった。だから借りたんだ。そのテの会社にね。」

「かっ――」

「借り…た…?」

松中さんとママが、同時に俺を見た。もう引き下がれない。

他人の借金を返すために借金をする。肩代わりをした形だ。

「息子のよしひろさんに聞いてみた。ほんとは考えたくなかったんだが、俺の推測は全部当たっちゃったよ。」

ママがカウンターを出た。店のドアを開けて――『CLOSE』。どうやら、今日は閉店のようだ。

「聞かせてちょうだいな。お酒は飲める?」

「じゃあ、ジンロの水割りで。ママも飲もう。」

松中さんが手伝うと言って、カウンターを押しのけて、中に入った。

どうせ酒なんて飲めないから、話し終えたら頂こう。俺は長い長い話を、ゆっくりと始めた。

水割りが三つ出来た所で、二人がカウンターから出てくる。

「息子さんの話によると、」

ママを隣の席に座らせた。三百万の新聞は膝元で、しっかり握っている。

「久し振りに連絡が来たと思ったら、なんでも遺言を残したらしいんだよ。」

「遺言…。」

松中さんが繰り返した。構っている時間はないので、続ける。

「俺が死んだとき、三百万の借金があるから保険金で返済しろ、と言ったそうなんだ。そして残りは自分で好きに使え、と。半年くらいして父親は死に、彼は言う通りに借金を完済した。自分に取立てが来るからな。そしてもう一つ、久下さんはお願いをしたんだ。」

ゴクリ、という唾を飲む声が聞こえた。俺も内心、ソワソワしている。心が痛むんだ。

「息子にマンションの三年分の家賃と光熱費を払わせた。でも彼はわざわざ親父のマンションには帰らない。自分の家庭でいっぱいいっぱいだからな。元々貯金も食いつぶした不肖の息子だ。頼れなかったんだろう。」

不肖の息子、という広樹の言葉を、俺は理解した。彼なら三百万のお金も喜んで持ち出すだろう。

「そんな…じゃあ、まさか…。」

ママは頭を抱えて、震え出した。必死に松中さんが背中をさすって、なだめる。

ここで止めるのは残酷な話だ。俺は優先順位を変えずに、話を続ける。

「彼は旅に出た。行く先は決めていたんだろう。切符に見ず知らずの人へのメッセージを込め、マンションに現金と手紙を置いた。自分で渡すわけにはいかなかったんだろう。払い戻し期間に届かなかったか、二人の事情かは知らないけれど――彼は借金の三百万を稼ぐ必要があったんだ。」

「いやあああああ!」

ママが叫ぶ。松中さんは既に、彼女を抱きしめるようになだめていた。

話を止めて、店を見渡す。カウンターの奥――電話の横に、新聞紙が置いてあった。赤いマーカーで枠がついている。

『寺院群の階段で男性転落死、参拝中の事故か』。被害者の名前は、久下義人さん六十四歳。

正直、俺にはどうすることもできない。何をしても久下さんは帰らないし、このお金を不正だとして処理するには、もっと多くの人が悲しむだろう。

偽者とはいえ"まともな"息子になりかわった俺にとって、彼の願いを叶えてやるのが、一番の選択肢だと思った。

そう、彼は死亡保険金目当てで死んだ。この店の借金を返済し、息子にも迷惑をかけないように。短期間で三百万…いやそれ以上の金を『作った』のだ。

ママの嗚咽が、うるさいくらいに聞こえてくる。松中さんの目からも、ぽろぽろと涙が落ちていた。

俺は耐えられなくなって、ジンロのグラスを一気に空けた。まずい。

「一年も経ってこんな真相が出てしまって、すごい傷つくと思う。ごめんなさい。でも、彼があなたを愛していた気持ち、受け取ってあげてください。ここが――この店だけが、定年を過ぎて一人ぼっちになった彼の生きがいだったんだ。」

「こんな…こんなのって…。」

ママはテーブルに突っ伏してしまった。同時に、店のドアが乱暴に開く。

「二百八十万は用意できたんですかねー!?いい加減こっちもガマンの限界なんだよ!」

スーツを着た、性悪そうなメガネで釣り目の男が入ってきた。俺は躊躇うことなく、ママの膝元から包みをひったくった。

ママの制止を振り切って、小さな店の廊下を大またで歩いて男の前に出る。なんと俺よりも身長が小さい。言葉で人を追い込むタイプに見えた。

包みを開いて、中身から二十枚引き抜き、残りを男に押し付ける。

「受け取れよ。メチャメチャカッコいい男が命を使って稼いだ金だ。受け取ったんなら早く帰れ。二度と来るな!」

視界がぼやけて――俺の目からも、涙が出てるんだろう。



 昨日の夕焼けが示すとおり、翌日の朝はよく晴れていた。頭がまだ痛むから、できればくもりが良かった。

あの後、ようやく涙をふき取ったママと一グラスのジンロを頂き、少し話をしてそれぞれの帰路についた。(松中さんはビジネスホテルを借りた。)

スタジオに戻ると同時にだるさと頭痛が襲ってきてどうしようかと思ったが、俺はいつもの応急処置をして眠りについた。

「ありがとうございましたー。お大事にどうぞー。」

女性店員のさわやかな声を受けて、俺は駅前の薬局を出た。

「おそーい!」

声がかかる。顔を上げると、松中さんが立っていた。

――しょうがないだろ、十分くらいで調剤できたら、苦労しねーよ。

薬局の設備を使ってロキソプロフェンナトリウムを少し頂いた。えーとつまり、鎮痛剤だ。

俺は医者ではないが、薬を自分によく効く量に調節することができる。

「特急が来ちゃうよ、早くかえろー!」

「ごめんねー、俺が下戸なのが悪いんですよ。」

ジンロ水割りグラス二杯で酔った自分の脱水素酵素を疑いたい。昔なじみの飲み会では、いつも頭痛役だ。


メガネをかけて特急列車に乗り込む頃には、すっかり頭痛はよくなっていた。

席に着くと同時に横から、「ねえ、山本くん」と声がかかる。

「何で保険金のこととか、その…一連の流れがわかったわけ?」

ああ、と俺はうなずいた。昨日のことだ。

「部屋にね、保険の契約書類があったんだよ。その額が一千万で時期は十九年から。納得できる数字でしょ?」

「なるほどね…あの部屋はどうしたの?」

俺はペットボトルの清涼飲料水を飲み干し、言った。

「ちゃんとよしひろさんに返したよ。久下さんの仕事の部下って体で電話をしたから、管理人さえスルーしてくれればうまく行く手はずになってる。ちゃんと息子のフリをしたことも謝って、許してもらった。」

「ふーん…色々やってたんだね。」

「うんまあ、見過ごせない問題だったし…まあ、今も良い気分にはなれないけどね。」

「ちょっとは、いいトコあるじゃん。」

松中さんが、俺から顔をそらしながらぼそっと呟いた。

「そりゃどうも。ついに脱もやしにも成功したみたいだしね。」

彼女はその後しばらく、こっちに顔を向けることをやめた。

この距離に俺は嬉しく思いつつも、窓に向かって大きなため息をついてしまう。やはり、結末が気に入らない。

結果的に彼によって、ママと店の体裁は救われ、俺と松中さんは少し、仲良くなったわけだ。

彼の死は多くのものを未来へもたらした結果となった。だとしても、なにか、なにか違う未来もあったはずなのに――この時代は、残酷で、未完成で、自己中心的だ。

それでも俺達はこの時代を生きている。明日からはまた、自己中心的な日々を生きる羽目になるんだろう。

特急は東京へ向かって、猛スピードで線路を駆け抜けていった。









――Death connects us with 『This moment』. master's day, him and her. but he is never back.




-Ticket to ride-

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