第12話
勝負自体はすぐに決着した。
どんなに紫水の能力が優れていたとしても、以前のような不意打ちの攻撃でなければ時を止める能力を持つ私たちには掠りもしない。
途中で時を止め、本人の動きが止まった際でも氷の弾丸は飛ぶ、ということがわかり少しひやっとしたがそれもそこまで大きな問題ではなかった。
「案外楽に倒せてよかったな!」
「そうだね。」
私と氷夜は簡単に紫水の動きを拘束することに成功したせいで、油断していたのかもしれない。
紫水の他に何者かがいたことに気がついた時にはもう遅すぎた。
突如、氷夜の腹から刃が生えたのを私は驚きの表情で見つめることしかできなかった。
「え…?げほっ」
「氷夜!!」
咄嗟にその場の時を止め、氷夜の後ろを見ると背の高い女が笑っているのが見えた。
おそらく氷夜の母親だろう。
私は氷夜の体を引き、刃を抜くと意識を集中し、傷を治した。
身体が悲鳴をあげたが気にしない。
傷が塞がったことを確認し、氷夜を揺さぶる。
「氷夜!氷夜!しっかりして!」
「う、また、助けられたな」
「良かった、ここは私が止めてる時の中!あの人が氷夜のお母さんであってる!?」
「あぁ、そうだよ、ラスボスの登場だ。」
「かなり乱暴に時を止めたからもう保たない、後1分ほどで動き始める。動くと同時に私があの女の首をはねる。いい?」
「まて、それは俺がやる。」
「…わかった、じゃあ3.2.1で動かすよ。」
「3」「2」「1」
私が能力をとくと同時に氷夜が走り出し、女の首が宙を舞った。
防御さえもまにあわない。
吹き出していく あか。 赤。 紅。
呆気ない終わりだった。
そう、氷夜の母親は能力者ではない。
その事実を知らなかったのであろう、呆然と母親の死体を見つめている紫水にとどめを刺して氷夜と向き合った。
「これで、よかったの?」
「あぁ、これで、よかったんだ。」
2人は儀式の間へと向かっていった。
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