第6話
「氷夜、よく聞いて欲しい。向こうはきっと私達を生かす気はない。」
「わかってる。家の決まりに逆らった時点で俺はもう処刑対象になってるはずだ。」
氷夜は昔から外に出ては捕まり、その度に躾と称し母親や兄に暴力を振るわれて居たらしい。そんなとき庇ってくれて居たのが父親だったそうだ。
そしてある時、父親は氷夜を外へ逃がそうとした。そして、それが母親の元へ伝わり処刑された。
「あいつらは利用する価値がないと思えばそれがたとえ血の繋がりがある人間でも平気で殺す、最低な奴らだ。」
「あと、ひとつ伝え置くことがある俺の母親は_____」
「えっ……それって…」
「このままここに留待っていても埒があかない。どこか休めるところを探そう。」
この森には前に来たことがあった。
ここには確か____アレがあったはず。
「氷夜、この森にはもう使われていない小屋があったはず。それを探そう。」
「わかった。」
さらに奥へと進んでいくとかなり古い廃屋とも言える建物が見えて来た。
「まだ取り壊されていなくてよかった…」
「え?ここに入んの?まじで?今にも崩れそうだけど?」
「私の能力では氷夜の3分の1程度の力しか使えないから無理だけど、氷夜なら多分できるはず。」
「え?まさか、これを?」
「そう、この廃屋の時間を10年くらい前に巻き戻す。
そう、氷夜の能力は世界中でも数人しか確認されていない時間を操る能力だ。この能力はほとんど発現しない上に制御が難しく、この能力を宿した人間のほとんどは制御できずに7歳を迎える前に消滅する。
なので、氷夜が今現在まで生きているということは自分の意思で能力の制御ができているという証なのだ。
「まぁ、多分できなくはないけどこれだけでかい建物でしかも10年か…」
「出来ないの?」
「できるけど!!」
「じゃあやって、その間に私はここまで来た痕跡を消してくるから。」
そう言って実湖は氷夜の返事を聞く前に来た道を戻っていった。
「あっ!おい…!行っちまった…」
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