第3話
私は氷夜が幼い頃に受けた能力テストの際に採取されていた細胞から作られたクローンであること、そして研究所から逃げてきたことなどを簡単に説明した。
まだ納得はして内容だったが一応信じてくれたようだ。
「なるほど、まぁ大体の事情はわかったよ。」
「でも実は俺もいま家出中の身なんだよ、悪いけどお前のことかくまったりはできないからな。」
なるほど、だから国から高評価を受けている能力の持ち主がこんな裏路地にいたわけか。
まぁ、別にかくまって欲しくて話しかけたわけではなく、自分の元になった人間に興味があってつい話しかけてしまっただけだ。
「誰しも色々な事情があるものだし、別にかくまって欲しかったわけではないから気にしなくて平気。」
「なぁ、お前名前とか無いの?」
と、話しかけられた。
「………名前?」
「そうだよ、その、研究所?とかで呼ばれてた名前ないのか?」
ふむ、名前か、考えたこともなかったな。
「被検体No.0835、と呼ばれていた。」
「それ名前じゃなくて番号じゃん…」
しかしこれ以外に私の名称はない…。
だが確かにこれから先名前が無ければ困る事もあるだろう。
「じゃあさ!
「別にいいけど…なんで??」
「08でおーや、35でみこ!結構いいセンスしてるだろ?」
なるほど…おおやみこ、大矢実湖。
これが、私の名前になる。
悪い気はしないな…。
「………ありがとう、その案を採用させてもらうとする。」
「おう、あのさ、お互いに面倒なのから逃げてんだからさ、一緒に逃げねぇ?」
唐突にされた提案に私は少し考えた。
氷夜の方の事情はよくわからないが確かに私1人で研究所からの追っ手を撒くのは少し骨が折れる。
それに、氷夜の能力は子供の時の時点で国に目をつけられているほどの能力だ
それに、私にはあの人の願いを叶えるという使命がある。
「賛成だ。短い間になると思うがよろしくお願いする。」
「まじか!よっしゃ!」
「しかし、それにあたり氷夜、君が何から逃げているのかを教えてもらえない?」
私がそう言うと喜んでいた彼の顔に暗く、影がさした。
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