第三十話:「The King of Knights Ⅴ」
ドラゴンとドラゴニュートによる連携戦術がランスロットによって齎されてから数年────現代の護竜騎士に近い体制が出来上がり始め、騎士団そのものも成長していました。
そして、オリジンの下に在ったかつての小さな村は────。
「────今日この日まで我らと共に、悪しき呪いの龍共から、その身を挺して同胞らを守り抜いた勇敢な騎士達......彼らのお陰で漸く汝らこの地に暮らす民、さらには我らドラゴンまでもが平穏を手にし始めた。
今此処に、この地の平穏なるを認め、その礎を築いた騎士アーサーをこの地の王として、この我────ドラグ=ノアが認めよう。
汝の博愛と献身、誠実なるは、我が保証なぞ無くともこの地の民は承知の上であろう。
......然してこの我にまで認められるということは、それ相応の力と責任を伴うことだ。
今後汝がより一層、民の為に成すその全てを、この私が見届けよう。この地で。」
「有り難き......至上の光栄に御座います。偉大なるオリジンよ。
私は貴方様の信頼に、全霊を以て応えると誓いましょう......。」
「うむ。以前汝に与えた力は“王たる者の剣”......その剣にも、今なら真に認められよう。......剣の声を聴くのだ。」
こうしてこの日、王権龍授によって「ドラグエール王国」は誕生しました。
ここまでが建国までの物語です。......然し、アーサー王の物語には、まだ続きがありました。
建国の催しが終わったその夜、騎士アーサーの持つ砦の上で────。
「おめでとう、アーサー......まさか本当にオマエが王に成るなんてな。」
「ありがとう、ランスロット......私もまだ、これは夢ではないかと疑っていた所さ。
これからはますます、皆に頼ってしまうだろうな。」
「オイオイ、王サマがそんなんでいーのかよ?しっかりしろっての。」
「ははっ、軟派者で知れたランスロット卿にまで言われてしまっては、大変だね。」
「あぁん?言ったなコノっ!」
「ふふふ、先に言ったのは君だろう?」
「そらそうだ、っと。オマエもこっち来て座れよ。」
「あぁ、そうしよう。」
「......王サマ、かぁ......。」
「どうしたんだい?ランスロット。“私”なんて柄じゃないのは僕も分かってるよ。」
「あぁいや、確かに普段は頼りなげだが、いざと言う時は男前だろ、オマエ。
リーダーシップも十分だし、俺はお似合いだと思ってるよ。」
「そう、なのかな?」
「そうだって。......ところで、さ。」
「どうした?」
「やっぱ王サマって、王権龍授とはいえ血筋とか、跡継ぎが大事だろ?
王妃サマは......やっぱ、ギネヴィア......なのか?」
「なんだかその話は気が早いような、ヘンな気分がするな......。
でもそうだな、僕はずっと、ギネヴィアが好きだ。彼女に傍に居て欲しいと思ってる。」
「......そう、だよな......やっぱ............。」
「ランスロット?」
「アーサー、今ここで、俺と決闘しろ。」
「どうしたんだランスロット、いきなり決闘なんて。」
「これで分かんねぇんだから、ほんとにお前はニブチンだよ。
はっきり言おう、俺もギネヴィアが好きだ!
俺の方が付き合いは短いけど......彼女もきっとお前が好きだろうけど......お前の方が俺よりカッけぇ奴だけど......こんな決闘に意味なんてないかもしれないけど............だけど!!
────今ここで、俺と戦え......!アァアサァアアァアアア!!!」
「────ッ!あぁ、分かったよ......!ランスロットォオオオ!!!」
「一撃でいい......全力で来いよッ!
圧し潰せ......ッ【
「無論だ!!
切り拓け......ッ【
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