第二十八話:「The King of Knights Ⅲ」

 また、と言い残して飛び去った龍と人の親子。

 ひとまずこの日の戦いは終わり、騎士達は日の出と共に皆の待つ村への帰途につきました​。

 無事に村にたどり着いたアーサーと甥のガウェインが道を歩いていると────。


「兄貴、今日はどうしたんだよ?らしくないミスだったじゃん!」


「あぁ......すまないガウェイン、心配かけたね。」


「気を付けてよー?やっぱ疲れてんじゃない?オレももう疲れて......。

 ふあぁ、あ......眠ぃ......。ダメだ、早く帰って寝よーよ......。」


「そうだね......少し、無理をし過ぎたかもしれない。

 龍も暫くは来ないだろうし、今日はゆっくり休むとしようか。」


「そーだぜ騎士サマ、ちゃんと休まねーと......そのうち死ぬぜ?」


「!? 君は、ランスロット君じゃないか......!」


「おう、オレサマだぜ?ボウズも、さっきぶりだな。」


「おー、さっきぶり!にーちゃん、なんでここに?」


「あー、この村に俺の母さんの......親戚?が居てな。

 体壊したってんで見舞いに来たっつーわけよ。

 母さんは今晩そっちに居るけど、俺は居ても邪魔だから散歩してんのよ。」


「なるほどなぁ......。そーだにーちゃん、飯はまだか?

 一緒に飯食おうぜ飯!兄貴を助けてくれたお礼させてくれよ!」


「おっと、先に言われてしまったね。

 ......ランスロット君、どうかな?是非ご馳走させて欲しい。」


「そりゃあありがてぇ!オレサマ腹ペコでよぉ?

 普段は人と全く関わんねぇから金も持ってなくてよォ......。」


「そらー辛ぇなにーちゃん!俺と兄貴がたっくさんご馳走してやっからな!」


「あぁ。なら、量を食べられるいいところがあるんだ。

 ......この時間でも多分大丈夫だろう、付いてきてくれ。」





 偶然再開したアーサー、ガウェイン、ランスロットの三人は、アーサーの幼なじみのギネヴィアとその両親の営む宿屋、シルフィードにやって来ました​────。


「あ、アーサー!それにガウェイン君も、いらっしゃい!

 ......そちらの方は?」


「おはようギネヴィ。こちらはランスロット君。僕の命の恩人だよ。」


「そうなの?!ランスロットさん、アーサーがお世話になったみたいで、ありがとうね?」


「よせやいそんな、オレサマはたまたま通りすがっただけだぜ?」


「今日は彼に、お礼も兼ねてご馳走しようと思ってね。もう食堂は開いてるかな?」


「今開けるとこだったの、どうぞたっくさん食べて行って!サービスするから!!」





「おー!久々のシルフィード定食だー!!やっぱ美味ぇなぁ!!」


「あぁ、そうだね。いつ来てもここの料理は美味しい......けどガウェイン、落ち着いてお食べ。零してるよ?」


「おっといけねぇ。でもランスロットにーちゃんの方がすっげぇ食べっぷりだぜ?ほんとに腹減ってたんだなぁって感じの。ほら、」


「ふがふぐんぐっんご......ほははひ!」


「はいはいおかわりね。......はいどうぞ。

 それにしても、そんなに急いで食べると喉に詰まらせ......」


「んっ、んー!んん゛ー!!」


「ほらもう大変!はいお水お水!!」


「......確かに、凄まじいね。」


「面白いよなー!あっはは!!」


「......これが、平和というものなのかもね......。

 あぁランスロット君、君も落ち着いて食べなよ。ご飯は逃げないよ?」


 三人は一緒に、お腹いっぱいの幸せなご飯を、楽しく食べていました​────。

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