第二十七話:「The King of Knights Ⅱ」

 舞台のストーリーは、王国誕生の切っ掛けとなる出来事​​────人々を守っていた守護古龍エンシェント ドラグ=ノアが強大な黒龍との戦いで傷つき、それでも戦おうとするドラグ=ノア達多くの龍を護る為に若きアーサーが立ち上がる場面から始まった​。




 龍の祝福を授かり認められた十一人の騎士は、先ずは古龍達と共にドラグ=ノアの回復を待つ時間を獅子奮迅の働きで稼ぎました​。

 そんなドラグ=ノアの居ない彼らの、幾度目かの戦いで​出会ったのは────。


「ッ、ぐあっ!!」


「おいアーサー!?」


「大、丈夫だ!こんなかすりキ、ズ......ッ、!?」


 多くの悪しき龍達との戦いは、やはり始めの内、アーサー達には厳しいものとなりました。

 多少竜の血を継くとはいえ、戦いを知らない只人には荷が重かったのです。

 その上、今まで単独で不利な戦況を支えていた、最も強大な古龍のドラグ=ノアが居なければ尚更に。

 それでも戦えていたのは、ドラグ=ノアが騎士達にそれぞれ与えた“力”のお陰だったのです​────。


「!? 危ない、兄貴ッ!!」


 然しそれにも限界がありました。

 慣れぬ大きな力に振り回され、思うように戦えず窮地に陥ったアーサー。

 ......その時、彼が現れたのです​────。


「ここは任せろよ、騎士サマ達!!無理すんなって!」


「貴方はっ!?」


「ンなもん、後でいいッ、だろっ!!

 とにかく怪我人は下がってな!!うらァッ!」


 突如アーサーの目の前に現れ、悪龍の振り下ろした爪を身の丈程もある盾で受け止めた、蒼い竜鱗に覆われた細身の青年。彼こそがランスロットでした​。

 彼は巧みに大盾を使って龍の攻撃を弾き返すと、盾を頭上に掲げ叫びました​────。


「圧し潰せ、【不壊之守護剣アロンダイト】ッ!!」


 すると大盾は大剣へと姿を変じ、それを振るうランスロットは次々と悪龍達を打ち倒したのです────。


「大丈夫だったか?騎士サマ。」


「あ、あぁ。助けてくれてありがとう。僕はアーサー。......君は?」


「オレサマはランスロット・J・アローン!ランスロットって呼んでくれや。」


「......や、坊や............坊や!また勝手に飛び降りて!!いくら坊やとアロンダイトが頑丈でも、坊やは上手く飛べないんだから......」


「母さん!大丈夫だって、いつも言ってるだろ?それにほら、おかげでコイツも助けられた!」


 騎士達とランスロットの元に舞い降りたのは​────。


「もう、この子ったら......。私は天龍スカイドラゴンのドラグ=アローン。おじ様が大変だって聞いて急いで手伝いに来たのだけど......。

 ウチの子が驚かせてごめんなさいね?飛び降りるのは危ないからやめてって、私の背中で戦ってっていつも言ってるのに......。」


「いえ、こちらは助けて頂いて感謝こそすれ、謝られてしまうと困ってしまいます。

 どうかお気になさらないで下さい。」


「そう、ありがとうね。じゃあ坊や、お乗りなさいな。

 おじ様に挨拶に行きましょう。今度は飛び出しちゃダメよ?

 それじゃあ皆さん、また会いましょう。」


「あいよっと。それじゃあ騎士サマ達、またな!!」


 そう言い残して、突然現れた親子はまた飛び去って行きました​────。



「......彼は............。」

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