第二十五話:日々を。
早速それから夕食までの間、
曰く、ドラゴアーツの基礎というのは
そもそもドラゴニティをある程度自在にコントロール出来て、走り回ったり飛び回ったりするのに支障が無ければドラゴアーツを学ぶには十分なようだ。聞けば、この空を飛べるかどうかで躓く初級者は多いらしいのだが、幸いにも僕はそれに慣れていた。
なので直ぐに次のステップに入ってしまった。
次は論理的な話で、ドラゴアーツに於いて重視される「竜翼」と「竜尾」についてだった。これらは人には元々備わっておらず、かつドラゴアーツの要となりうるものだ。
特に「竜尾」はとても重要だという。
何故なら、「竜翼」については地属の竜はそもそも持たないことが多く、また空、或いは稀に水中でのみ用いられる。そのためドラゴアーツの流派を大きく二つ、「天/地」に分けているという意味で重要だ。
それに対して「竜尾」というのは、多くの筋肉と少しの骨に依って成り、所謂“竜形態”のドラゴニュートの体重の多くの割合を占め、拠って多くの武術の基本とされる体重移動の要となり......また、有用な武器足り得るからだ。
竜尾や竜翼、その扱い方についてまで少しの手本を交えた口頭での説明をひと通り受けると、あとは慣れだとばかりに組手が始まった。
空が茜色に染まり始めた頃、バルクさんは汗を拭いながら言った。
「いやぁ、ホムラ君は飲み込みが早いから教えるのが楽しいよ。」
「バルクさんの教え方が丁寧でわかりやすいからですよ。
僕も楽しく教われるんです。」
実際、“武術”としての技術を学ぶことにはまだ少しの抵抗があるけど、型に沿って効率的に体を動かす“武芸”としての運動と思えばそれも楽しかった。
それが今後、護る為の力になるとなれば尚更に。
「さて、今日はこのくらいにしておこうか。もうすぐ夕飯の時間だしね。
明日は多分私は忙しくなるから、今日教えた竜尾と竜翼の使い方に慣れるように復習してくれるといいかな。明後日は時間が取れると思うから、また一緒にやろう。」
「はい、ありがとうございました。」
「さぁ夕飯だ。お待たせ、レヴィ。」
「ううん、私も見てて勉強になったわ。ホムラ君に負けないように頑張らないとだから!」
「そうかそうか......。」
その日の夕食は、運動の後ということもあってかとても美味しかった。......勿論、何度も言うがここでの食事はなんでも美味しいのだが。
食事の席では勉強の話をしたり、この国について僕が質問したり。
たわいもない話が多かったが、幸せで、僕の好きな時間だ。
そんなふうにしてレヴィアに勉強を教えてもらいながら、バルクさんの暇な時はドラゴアーツを習い、たまにラースと話しながら散歩したりしてこの国での日々を過ごして行った。
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