第二十一話:「騎士王」


 今日のお勉強会は前回少し触れた「騎士王」アーサー・ペンシルゴンについてを詳しく学んだ。

 なんでも、毎年必ずと言っていいほど出題される鉄板ネタだという以前に、彼を知らずにドラゴンナイトを目指すのは論外だとか。

 それ程までに現代のドラゴンナイト達にとっては偉大な人物らしい。


 アーサー・D・ペンドラゴン。

「騎士王」や「断鋼剣」といった武勇を伴う異名を持つことで知られる、このドラグエール王国の初代国王だ。

 彼は、火古龍の血を色濃く受け継いだ隔世遺伝の半混血ハーフドラゴニュートだった。

 昨日聞いたように、龍と共に戦おうと最初に名乗りを上げた騎士であり、また数多の強力な悪龍を討ち取った優れたドラゴンナイトでもあったそうだ。

 アーサーは護龍騎士団ドラゴンナイツ結成後十年、齢二十八にして偉大なる

守護古龍エンシェントドラゴン ドラグ=オリジン」の「三つの試練」を乗り越えて「王剣」エクスカリバーを授けられたことでドラグエール王国が建国され、初代国王となった。


「魔剣 エクスカリバー」、別名「王のツルギ」。

 それは、伝説の上では一度ひとたびアーサーが振るえば鋼をも遥かに凌駕する硬度をもつ地龍の皮膚でさえ断つ剣として、「絶対剣」とも謳われた片手直剣。

 また一説では、「試練」を乗り越えエクスカリバーに認められた者は所有者自身の「運命の時」まで不死身の加護が与えられ、所有者を鞘として常にエクスカリバーが傍にあったという。

 芸術品にも勝る無二の美しさを備えながらも、主を阻む全てを断ち不死身の加護を与える無双の王の剣......それがエクスカリバーの伝説だ。

 そのエクスカリバーはペンドラゴン家直系の、「試練」を乗り越えた子孫に王権と共に今も代々受け継がれている。



 さらに今日は、ついでとばかりに「アーサー王を語るときには必ず共に語られる男」とやらのことにも言及された。


 アーサー王の親友、ランスロット・J・アローン。

「始まりの龍騎士」の異名を持つこの男は水竜のドラゴニュートで、生まれつき竜特性ドラゴニティが強く現れた恐ろしい見た目をしていたため赤子の頃にとある湖のほとりに捨てられたという。

 そこを偶然通り掛かってその泣き声を聞き付けた「古天龍エンシェント・スカイドラゴン ドラグ=アローン」の気まぐれで拾われ育てられたという生い立ちの、天然の龍騎士ドラゴンナイトだった。

 彼は後の護竜騎士ドラゴンナイトのプロトタイプであり、アーサーと共に立ち上がった当初から既に完成されたドラゴンナイトでもあった。

 そのせいもあって、彼が現代までの「ドラゴンナイト」に与えた影響はかなり大きいもので、それどころか今のドラゴンナイトの在り方は彼を手本モデルとしていると言ってもいいだろう。

 彼は生来強く発現していたドラゴニティもあって、人一倍優れた肉体と身体能力を有していた。そしてその優れた膂力を以てドラグ=アローンから与えられた不懐の「剛剣」アロンダイトを、のドラゴンの背で豪快に振り回して戦ったとされる。

 そしてその彼と彼の剣の能力を用いたスタイルこそが、完成形ハイエンドのドラゴンナイトたる所以であった。


「魔剣 アロンダイト」、別名「守護の盾剣」。

 無骨で幅広な両手持ちの大剣だが「不懐」の性質を持ち、時には主と認めた者を護る「盾」へと姿を変えるという。

 非常に重く生半な者には持つことすら許されず、故にこそ自在に操る剛力の者在らばその破壊力、防御力は推して知るべし。


 しかしそのドラゴンナイトの象徴アロンダイトは、今となっては行方の知れない剣である。何故なら......







 ......何故ならアーサー王とランスロット卿は幼馴染のギネヴィアを巡って袂を分かち、その後、アロンダイト共々その所有者のランスロットの行方は知れなかったのだから。




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