第二十話:みんなで。
ラースに因る思わぬ「
ラースと立ち話をしたせいで朝食まで時間の余裕がなくなってしまったが、いくら短くて乾きやすいとはいえ、こんなふうに急いでいるときには髪を乾かしたりするのに火龍の力は便利だな......などとどうでもよいことを考えてみれば、思い出されるのはやはりさっきの話。
火龍人としての能力と「
つまりその二つはある程度以上に近しい力なのか......?
そのせいで、俺は何かを間違えてる......?
分からないまま、それでも考えを巡らせているうちにも体は半ば無意識に動き続けていて。
気付けば風呂上がりの身支度が出来ている......どころか食堂に向かって歩いているところだった。
そこで、取り敢えずは「分からない」で棚上げして朝食を楽しもうとすることにした。
食堂に入ってみると、ベーコンの焼けたいい匂いが鼻を直撃した。
食卓にはお手伝いさん達含め人数分の朝食が並び、しっかりと目の覚めた様子のバルクや準備を終えたお手伝いさん達、そして朝の弱い様子で目を擦るレヴィアが既に席に着いていた。
「お待たせしてしまいすいません。」
「いや、大丈夫だよ。さぁ席に着いて。
......それでは、頂こう。」
この家では、朝食は“家”の皆で、と決まっているらしい。
昨日の朝はこの家で初めての朝食で、皆が勢揃いして食べていたこともそういうものかと受け止めていたのだが、昼以降は三人だけだったのでレヴィアに訊ねてみたところそのルールを教えてもらった。
なんでもバルクさんの決めたルールらしいが、それが当たり前になり過ぎて説明し忘れていたとか。
何はともあれ、大勢で食べる食事というのは新鮮で、良いものだと思いながら朝食を頂いた。
昨日程でもなかったが、鍛錬の後の空腹はやはり食事を一層美味しく感じさせてくれているような気がした。
今日からレヴィア先生とのお勉強会は朝食の後からお昼までやるらしい。
というのも、レヴィアが昨日見た僕の鍛錬を朝食で話題に出したことで、興味を持ったバルクさんが午後の空いた時間で鍛錬を見てくれると言い出したからだ。
そんな訳で朝食を終えた今、昨日と同じように図書室でお勉強が始まろうとしていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます