第十九話:ルーツ/暁の

 翌朝、以前のいつも通りに目が覚めたせいで時間を持て余してしまって落ち着かなかったから、軽めの鍛錬をして目を覚まそうか。

 昨日は軽めにしたから、それでちょうど良かったかもしれない。


 今朝は護竜騎士になることも視野に入れて、久々に竜力の訓練もしてみる。

 相変わらず気難しい制約リスクがあってホイホイ使えはしないものの、それさえ抑え込んでしまえれば使い勝手は決して悪くない、筈だ。

 然しリスクがあるのも事実で、ある程度以上の出力ではそう気安く訓練なんて出来やしないから、学園にはその点安全万全な訓練環境に期待している。





 そんなこんなで二時間もすれば住み込みのお手伝いさん達が動き出し始めた。もう一時間もすれば朝食の時間だろう。


「......この辺にしておくか。」


 今朝の鍛錬を切り上げようとしたその時。


「のう、お主。」


「......ラースか、驚かすなよ。」


「すまなかったな。つい驚かせてたのしんでしまった。」


 コイツはまた......。


「はぁ......。それで、何の用?」


「いやなに、目が覚めたら何やら懐かしい匂いがしたのでな。

 お主、竜力チカラ......いや、「祖龍異能ルーツ」でも使ったか?」


「多分......?少し使ったのかな。」


 何でそんなことを、と思いつつも答えると、ラースは言った。


「その様子だと、片鱗は使えど使いこなせてはおらなんだな。

 それ以前に、火龍人としての能力チカラと「祖龍異能ルーツ」の区別もついとらんようだ。

 ......ひとつ聞くが、「暁の」と呼ばれる古龍に覚えはないか?」


「「暁の古龍」......?もちろん。

 昔、須佐之國スサノクニで最も猛威を振るっあばれて被害を出した古龍で、日が沈むと同時に姿を現す「夜の太陽」、「爀月」なんて呼ばれてた龍......。

 建国戦争の被害の半分以上が彼の古龍に因るものだって有名な、あの......?」


「そう、「爀月」......。そ奴だろうの。

 ......いいことを教えてやろう、ホムラ。

 一体何の因果か知らんがな、


 お主の祖龍アンセスターはまず間違いなく、「暁の古龍 ドラグ=フレイム」だ。」


「......え?......それ、ホントか?」


「まず間違いないと言ったろう。

 奴は我の弟......のだったと言えようか。龍の血縁は少し複雑故な。

 ......まぁ、可愛がっていたんだ、彼奴の匂いは間違えんさ。」


「お前、やっぱり何者なんだ......?」


「そんなことより、お主は奴のことを知るべきよな。

 アンセスターのことを知れば、自ずと「祖龍異能ルーツ」も知れよう。


 ホムラ、お主は「暁の古龍」......「爀月」の血脈だよ。」







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