第三話:須佐之國

「......いいだろう。良く聞けよ。

 いちいち口に出すのも面倒だから勝手に俺の心の声を聴いてくれ。

 そっちの方が、細かいニュアンスも伝わるらしいし、お互い楽だろう。」


 それでは「須佐ノ國」のお話、はじまりはじまり。


 此処は通称「東の国」や「皇国」と呼ばれる「須佐之國スサノクニ」だ。

 龍戦終結後、八百年にも及ぶ竜や龍との戦い、「建国戦争」の末に今この国が在る。


 西がどうかは知らないけど、ここでは毎年、少なくて数体から多くて十数体、或いはそれ以上......数十体の竜が生まれてる。

 今でこそ安定して、僕たち「里」の滅龍機士達が狩っているけど、戦争中には竜のうちに狩れず、成体......「龍災」に至った個体がいくつも居たらしい。

 そのせいで、竜が現れる度に人々は怯え、苦しみ、実際に多くの犠牲が出ていたらしいよ。

 そう考えると、八百年も戦い続けて、ましてや勝利を収められたのは奇跡といってもいい快挙だね。


 それも偏に、僕達「滅龍機士」......そのご先祖さまの「竜伐者」達の活躍のお陰、って言われてる。


 そして、八百年も戦い続けてきた中で、何とか拮抗し始めたのが終戦数十年前。狂った技術が生まれてさ。

 今の「滅龍機師団」が出来て、竜や龍を殺す為の研究ですっごく技術が進歩したらしいよ?

 それで漸く戦争は終結した。見事大逆転勝利!


 でもそれ以前の七百年と数十年はずーーっと劣勢に劣勢で酷かったらしい。

 なんとか滅びずに済んだ、って程度の抵抗しか出来てなかったらしいよ?


 そのせいで、今この国の、使土地は最初の半分にも満たないらしいんだ。

 要するに、半分以上の土地は戦争のうちに、およそ人の住める環境条件ではなくなってしまったってこと。


 だから、この国の皆は竜や龍を憎んでる。

 戦争で多くの命が失われて、国土もめちゃくちゃ。

 竜は生まれ次第、被害が出る前に皆殺し。


 僕達......竜人や龍人は皆、外では迫害されてるし、ここに集められた竜人や龍人の子供たちは、人より強く、行き場の無いのをいいことに「滅龍機士」になって戦うことを強制されている。


「それが俺達、「滅龍の民」。」


 竜人龍人ニセモノが竜を操って、竜を殺す。

 殺した竜は新たな竜になるって寸法さ。


 ......反吐が出るよね、まったくさ。


 僕達ソレが表向き、竜は勿論、龍にすら負けない、選りすぐりのエリート資格者で、国と民を背負って戦う皆のヒーローってことになってんだから笑えない。



 それがこの国、竜も龍もブチ殺せ。外道上等「須佐之國」だよ。



「それで俺が、この国の尖兵の龍人ニセモノ筆頭。

 滅龍の民、滅龍機士序列一位、ホムラ

 屍骸被ってバケモノと殺し合う、バケモノだ。」


 ..................ウンザリだよ。

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