#014 作品は誰のため?

 今回の話はモチベーションに関する話です。当たり前の話ですが、投稿者は作品を執筆するのみならず一般公開して反響を得ています。以前にもそれは話しましたが…、じゃあ自分以外の「誰のために」作品を執筆するのかって話になります。




 まず、自分のために書いているのは当然として、投稿者たるもの、それが100%の理由にはならないでしょう。もちろん、「自己顕示欲や承認欲求を満たすため」と言う意味では「自分のため」と言えるでしょうが…、それは言葉遊びにすぎないので忘れます。


 それじゃあ、自分の作品を読んでくれる「読者」のためなんじゃ?っと言われれば、たしかにそうですが…、読者と言っても多種多様です。熱狂的なファンもいれば、一見様、あるいは荒らしだって含まれてしまいます。


 流石に、荒らしのため(炎上商法)に作品を書くのは理解に苦しみますが…、問題はファンの見極めが困難なこと。ザックリ分類してみると…。


①、とりあえず目に付いたから読んでみた。作者や作品に興味は無いので、あきたら切る予定。そもそもフォローもしていない。


②、ジャンルに対するファン。とりあえず俺TUEEEしている作品が読みたい! 序盤は気に入ったから読んでいたけど、その後は展開しだいて考える。当然、作者や他作品に興味は無いし、作品(ストーリー)的に"当然の流れ"だったとしても自分の好みの展開から外れた時点で興味を失う。


③、作品のファン。その作品は好きだけど、作者や他作品は読まないし、当然フォローしない。まぁ気が向いたら読んで、面白かったら考えるってタイプ。


④、作者や作者の作品全てを楽しんでくれるファン。作品自体もそうだけど、むしろ言葉回しや作者の考え方に惚れ込んだコアなファン。作者の作品は全てチェックしているし、メインの作品が終わったりジャンルを転向しても構わずついてきてくれる。




 大事にするべきが④なのは直ぐにわかると思います。もちろん、あまりコメントを書かない相手だと判断できない問題はありますが、やはり応援してくれるファンには出来るかぎり応えたいと思うのは当然の心理です。


 じゃあ、どこまで大事にするのか? 言い換えれば、どこまで需要や要望に応えるのかって話です。


 「お客様は神様だろう! ちゃんと全ての読者に平等に対応し、全ての読者を納得させる作品を作れ!」と言う人もいるかもしれませんが…、現実問題として、それは綺麗事であり、実現不可能です。バトルが好きだけど恋愛は嫌いって人もいれば、恋愛は好きだけど野蛮なのは無理って人もいます。好みは人それぞれであり、全てを納得させる神作は(探せばあるかもしれませんが)それを全てのアマチュア投稿者に強要するのは無茶ブリが過ぎます。つまるところ、ある程度浅いファンは切り捨てていかないといけません。




 まず、①の人がフォローもしていないのに作品への不満を感想に残して去っていった。これは絶対に聞いてはいけません。もちろん、誤字や根本的にダメな部分への指摘なら受け止める必要はあるでしょうが…、


・「文章が短すぎる」「読んでいてテンポが悪い」「投稿が遅い」

 これは作者が、生活や作品にあわせて自由に決める事であり、読者の意見を反映する必要はありません。もちろん、納得できる意見だったら反映させるのも作者の自由ですが…、基本的に投稿サイトはそのあたりを作者の権利として保証しており、文章量に文句を言う行為は"荒らし"に該当します。


・「面白味が無い」「展開がダルイ」「読みにくい」

 抽象的なダメだし。面白くないのは事実かもしれませんが…、ただ気に入らなかっただけの捨て台詞的なものを真に受けるのはナンセンスです。しっかり自分の作風や表現したいものを理解し、そこへ向かわないと、ただただ作品がブレるだけに終わります。




 意外に害悪なのが②です。最初は素直に応援してくれるのですが…、自分の思い通りにならないと直ぐに文句を言う。作品や登場人物の行動としてスジが通っていても"自分"の好みでないなら構わず文句を言う。


 「自分ならこんなことはしない! コイツラ最低すぎて読む気が失せた!!」こんな口調でいきなりファンだと思っていた人が文句を言ってきたら、流石に私も驚き、ストーリー構成に問題がなかったか検証します。しかし、それはあくまでジャンルファンが過剰に主人公に感情移入して、自分を作品の主人公に置き換えた結果の「身勝手な主張」です。極論ですが、良くするのも悪くするのも作者の自由であり、面白く感じないなら読まなければいいだけの話。結果的に詰まらなくなったとしても、作者が表現したいものがあるならソチラを優先すべきであり、投稿サイトもそれを保証しています。


 つまり、読者の要望ではなく、「作者の表現したいものを表現する」ことが優先なのです。(もちろん二次創作などのルールを守るのが前提条件ですが)




 ③は基本的にサイレントなので、なかなか表に出てきません。しかし、あくまで作品しか見ていないので…、作品が何らかの事情で打ち切りになったり、一区切りついたところでココゾと文句を言ってきます。


 私も投稿先を引っ越すタイミングで散々文句を言われました。それも「できれば投稿を続けてください」とかではなく、「結局、グダグダでつまらなかった」「もっと勉強した方がいいですよ。構成も表現もなってない」など。終わってから捨て台詞を言うだけ。ただ、もっともらしい言葉を並べて文句を言いたいだけ。こう言ったものは見なかったことにするのが1番です。自分の表現したいものを自分の言葉で表現しましょう。聞いても作品がブレるだけです。




 ④は出来るだけ大切にしたいですが、すこし上記のものとは対応が違います。基本的に作者の都合や表現したいものを肯定してくれるので、誤字などは別として"投稿"以外で応える手段がありません。


 それでも感想はわりと頻繁にくれたりするので、うまく文面から隠れた需要やアドバイスを読み取り、作品作りの参考やモチベーションにつなげると良いでしょう。もちろん、難しいことですけどね? それでも好きで投稿者になったのなら、「歩む(書く)こと、考えること」は止めるべきではないでしょう。




 むかし、私はこんな言葉を貰いました。


 「創作は100%の人が納得するところを目指すものでは無い。1%の納得を目指すものだ」


 1%はあくまでモノの例えです。例えばオバカな子供向け番組。大人からすれば価値の無いものでも…、子供にとってはどんな(大人向けの)名作よりも価値のあるものです。それは子供の感性が狂っているとかではなく、そう言った需要があり、それに応える作品だと言う話。


 別に、ストレスフリーな転生モノでも、エロいだけの作品でもかまいません。それはその需要に対して存在しているのであって、需要に合わない人の意見を取り入れても害悪にしかなりません。


 それに…、100%の読者に認められる作品を作るのは不可能でも、1%なら出来そうな気がしませんか? 1%でも、利用者が1万人なら100人の人が④のファンになってくれます。もちろん、投稿しただけで全ての読者の目にとまるとは限りませんが…、③や②の数もカウントすると充分にランキング入り出来る数字です。




 私は、アンチや抽象的な指摘に対してはドライな対応をしますが…、根っこの部分にはこう言った考えがあるが故の行動なのです。

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