スイーツ店での甘いひと時
ワシントン州 スイーツ店内 二〇一五年七月三〇日 午後三時一五分
香澄とジェニファーがワシントン郊外を歩くこと、約一五分後……確かにマーガレットがおすすめだと言うスイーツのお店が、シアトルの一角にあった。今日は夏休みということもあってか、家族連れやカップルなどでにぎわっている。しかしまだ満席になっていないようなので、香澄は先に注文を済ませて席を確保する。
一足先に香澄が席に着くと、それからまもなく二人分のケーキと紅茶をレジカウンターで受け取っていたジェニファーが戻ってくる。ジェニファーの顔はどことなく嬉しそうだったので、
「ジェニー、随分嬉しそうね。あなたそんなにこのお店に来たかったの? それともジェニー、あなたって甘い物が好きだったの?」
さりげなく問いかける香澄。その言葉を聞いたジェニファーは“うーん”と少し考え込みながらも、
「それもありますけど……香澄が“このお店に行きたい”って言ってくれたことが、私には一番嬉しいんです」
ありのままの気持ちを伝える。
だがジェニファーの真意を上手く読みとれない香澄は、瞳を軽く細めながらもじっと彼女を見つめている。
「変な子ね。まぁ、あなたがそれで良いのならいいけど……」
何か難しいことを考えている香澄をよそに、“そんなことより香澄、早くケーキを食べましょう”と声をかけるジェニファー。だがいつになく上機嫌なジェニファーをどこか心配しつつも、“いただきます”と言いながらケーキを一口食べる香澄。
旬のフルーツの香りとホイップクリームの甘い口当たりが広がり、うっとりと笑みを浮かべる香澄とジェニファー。流行りものには人一倍敏感なマーガレットの情報なだけに、香澄たちのような若い女性にはうってつけのお店。
「メグがおすすめだって言っていたけど、本当に美味しいわね。このケーキ」
「本当ですね。こんなに美味しいケーキなら何個でも食べられるけど、あんまり食べると太っちゃう」
そうは言いつつも、テーブル席には年頃の女性が二人。高カロリーだということは分かっていたものの、ケーキが彩る甘い誘惑に勝てない香澄とジェニファー。そんな二人の手はとどまることを知らず、話を弾ませながらも楽しい息抜きの時を過ごしている。
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